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「おい、気分屋!」
優人が追いかけてきたらしい。だが、氷雨は歩みを止めない。
「おい、待てよっ」
氷雨の手を取り強制的に動きを止めてきた優人を睨みつける。
「なんだよ?」
「何でお前今回の依頼を受けたんだ?」
「そんな事聞くために追いかけて来たのか?」
ふんって鼻で笑うと優人はむっとする。
「そうだよ。悪りぃかよ?」
「……お前らこそ何で受けたんだ?」
「アンドレア様からの直々の依頼だったんだよ。前国王の動きが怪しいから、ロベルト前国王に雇われたふりをして内情を探ってくれってな」
だから、ロベルトに従順なふりをしていたのか。
ずっと疑問に思っていた事が1つ晴れた。
「城内にいる奴等は殆どロベルト前国王の息がかかった奴等ばかり。頼れる執事と侍女は地下牢に閉じ込められてしまった。だから、最近交流があった俺たちに依頼が来たんだ」
有名な希望の光と手を組む事で今後の情勢に役立つ。そして希望の光としても名が売れる。双方の思惑が合致したのであろう。
「お前もアンドレア様の味方だと分かればあんな事しなかったのに…」
「お前が人の話も聞かねーで斬りつけて来たからだろ」
「うっ…すまん…」
「…ぷっ…」
「おい!何で笑ってんだよ!」
顔を真っ赤にして怒ってくる優人にますます笑いが止まらない。
「悪りぃ悪りぃ。素直に謝ると思わなかったから」
まだ怒りが収まらない様子で顔がむくれている。
「なあ?優人サマ、桜は好きか?」
「あ?好きだけど」
いきなり話が変わり訳がわからないという顔をする優人。
「俺も好きだ。どうしてあんなに綺麗だと思う?」
「さあ?日本人なら皆んな好きなんじゃねーのか?」
「風情がねーなー」
「うるせーな。だからなんなんだよ!」
「やっぱ、辞めた。お前が桜の魅力を分かるようになったら話してやるよ」
「はっ!?ちょ、待て気分屋!」
「あ、後お前らもー少し芝居の練習しとけよ。あんな猿芝居、久しぶりに見たぞ」
氷雨は言うだけ言うとひらひらと手を振り一瞬にして目の前から居なくなった。
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