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「読めねー奴」
未だに拘束されている山賊達を横目に警備隊に連絡を入れる。数分程度で警備隊が駆けつけた。状況説明をし、山賊達の身柄を引き渡した。
「おや?希望の光 副団長さんでは、ありませんか。こんな所でどうしたんですか?」
「雲筋さん…久しぶりですね」
「克雄とお呼びください優人さん」
輝く銀髪を右サイドへ流し、切れ長の目が特徴の男が親しげに近付いてくる。
警備隊トップの雲筋克雄(ウンキン カツオ)が、こんな事件に関わるなんて何かあったのか?
「残念です。もしや氷雨さんがいらっしゃるかと思いここへ来たのですが…」
「あいつなら、さっさと帰りましたよ?」
「何と!勘付かれましたか…はぁ、残念です」
「知り合いなんですか?」
「えぇ、そうですね。丁度彼らの親族達をとらえた時に出会いました」
「山賊達の親族…」
『人殺しのくせに…』
ふと、山賊が言っていた言葉を思い出した。
「雲筋…克雄さんは、あいつらの親がどうなったか知ってるんですよね」
「ええ、把握してますよ。彼らの親は皆、自殺してます」
「え?自殺?他殺じゃなくてですか?」
「はい。自殺です。最も彼らは氷雨さんに殺されたと思ってるみたいですが」
少し寂しそうな表情をし、山賊達を見つめる雲筋。
「どうしてそんな勘違いを?」
「氷雨さんが自ら言ったのです。彼らに真実を伝えないで欲しいと。元々彼らの親だと思っていた大人は、只の奴隷商でした。彼らは奴隷商に違法で連れさらわれた子供達です。彼らの本当の親は、奴隷商に殺されております」
「え…?」
「皮肉なものですよね、彼らが親だと信じていた者達は、本当の親を殺した張本人だなんて…。そしてそんな彼らは小さい頃から奴隷商の手伝いをさせられていたんです。当時私達はそんな違法な奴隷商の手がかりをやっと掴みアジトに突入しました。ですがもう事は終わった後でした。別の依頼で動いていた氷雨さんが全て捕らえていたのです」
当時の事を思い出しているのか、苦笑いを浮かべる雲筋。
「幼かった彼らを含め奴隷商の身柄は私達警備隊に引き渡されました。奴隷商の大人達は、連日の事情聴取に頑なに口を開かず数日後、牢の中で自殺しました。幼い彼らを残して。そんな事実を知った氷雨さんが、彼らが信じてる大人を親だと思わせたままでいて欲しいと言いました。そして、大人達が死んだ事は暫く黙っていて欲しいと言ったのです」
「その後、あいつらはどうなったんですか?」
「まだ幼かった彼らは厳重注意だけで済み施設に預けられました。ですが施設での生活が暫く過ぎた後、彼らの親だと名乗る人物が現れ引き取っていったのです。その人物は、奴隷商の生き残りでした。そして彼らはそのまま消息を絶ったのです…。どこに行ったのかと思っておりましたがまさか、こんな山奥にいるとは思いませんでした」
「じゃー、気分屋が殺したと勘違いしてるのは、その引き取った奴のせいって事ですか?」
「その通りです。氷雨さんが殺したと洗脳して今迄復讐の時を見計らっていたんでしょうね」
「それにまんまと俺が利用されたわけですね」
「ふふ…そうですね。巻き込まれてしまった様ですね」
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