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初めて彼を見たのは、音駒高校との練習試合。
しなやかなプレイスタイルとは裏腹に、獲物をじわじわと追い詰めるような視線。
少しでも気を抜いたら、一瞬で食いちぎられそうな恐怖を感じて、目を逸らすことが出来なかった。
身体が熱い。
心臓の音が煩い。
訳がわからず、ただがむしゃらにボールだけを追った。
(Aクイック来るっ……!)
東峰さんとブロック2枚。
けど、目の前にいるはずの彼はそこにはいない。
(時間差っ…?!)
小気味よい音と同時に、ボールが床に叩きつけられる。
あっさりと出し抜かれ、悔しさに唇を噛んだ。
ネット越しに彼と視線がぶつかる。
(……っ!!)
挑発するように、嘲笑うように、彼は笑った。
赤い舌をだし、唇を舐める。
全身に電流のようなものが流れたような気がした。
「おい月島!大丈夫か?!」
東峰さんの声で我に返る。
慌てて自分のポジションに戻ったが、それからの事はあまり良く覚えていない。
試合はいつの間にか終わっていて、どうしようもない熱と、彼が見せたあの表情だけがずっとまとわりついて離れなかった。
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