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日向に連れてこられたのは体育館から少し離れた場所だった。
適当に腰を降ろし、夜風に身を任せる。
湯上りの火照った身体を心地良く冷ましてくれた。
「月島も手伝えよ!」
火消し用のバケツの準備をしながら、日向が言う。
「わざわざ付き合ってやってんのに手伝えとか冗談でしょ?」
ブツブツ文句を言う日向をよそに、夜空を見上げる。
(あの人…もう寝たかな…)
さっきまで一緒に練習していたのに、もう会いたいと思っている自分に少しだけ嫌気がさした。
この合宿が終わったら、次に会えるのはいつだろう。
部活以外に接点なんて何ひとつないし、あったとしても気軽に会える距離でもない。
どうしてこんなにも彼の事ばかりなんだろう。
この気持ちが何なのか気付いた時よりも、気付いてからの方がずっと苦しい。
まあ、男同士という点で既に絶望的なのだが。
あれこれ考えるのが嫌で、目を閉じた時だった。
「こんばんは」
低い声に目を開く。
今一番僕が会いたかった人。
今一番僕が見たいと思っていた顔が目の前にあった。
息がかかるくらいの距離。
動けない。
「研磨ー!!こっちこっち!!」
「……翔陽うるさい」
すぐ側で日向達の会話が聞こえる。
何か言わなきゃと思うのに声が出ない。
そんな目で、僕の全てを見透かすような目で見ないで。
「月島ー!何してんだよこっちこいよー!」
日向の声で、僕を覗き込んでいた顔がすっと離れていく。
視界が何もなかったように、元の夜空になった。
「……今行く」
絞り出した声は酷く掠れていた。
背後でクスッと笑われたような気がしたけど、僕にはどうすることも出来なかった。
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