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それでも朝は来る訳で4
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-涼太side-
置いていかれて海野が見えなくなった瞬間涼太は近くの壁を思いっきり殴った
そこまでグッと堪えていた自分を褒めたいぐらいだ
「あいつ、殺すッ」
クソッ、クソッと幾度となく呟いた
ようやく怒りが鎮まりロビーに向かうとまだ海野がいた
「おせぇよ」
海野は煙草を吸っていた
匂いがなかったから吸わないと思っていた
吸っていたが涼太を見るとまだ吸い初めのそれを灰皿に押し付けた
「・・タバコ、なんで」
「んだよ、昔はよく吸ってたんだ、結婚してからは辞めてたけどさ、なんか文句あんのか?」
海野はソファから立ち上がりスーツのネクタイを締めた
「そうじゃなくて、金ねぇのに一本無駄にしたろ」
「あぁ、お前の前ではしねぇよ、未成年だし、体調崩されても困るし」
やはりそうだった、もしやそれが海野なりの優しさなのかと思ったが合っていた
「意味わかんね」
片付けをしてくれたことやそんな気遣いがあったことに困惑した
嫌な奴、なのは変わりないがどんな気でやっているのかがイマイチ掴めなかった
「なんか言ったか?」
ボソッと呟いたため聞き取れなかったらしい
「なんでもねぇ」
とその場を濁し二人してホテルから出た
「これからどうすんの?」
わざわざ待っていたのは自分に何か用があってだと考えた涼太が言った
「どうすっかな、ってかお前、俺の心配してくれてんのか?」
ニヤニヤと笑う顔がだんだん板について来ている
「あり得ねー、待ってたんだからなんか用があるんだろ、金?それとも住むところの提供?」
それを聞いて海野は呆れたように言った
「お前子供っぽくないね、でもそうかぁ、お前に頼むって選択もあんのか、成る程ね」
そんなことはこれっぽっちも考えていなくてただ一緒に出るだけ出ようとしていただけの海野は新しい選択肢に頷いた
「いやでも大人としてそれは情け無ない話だし、取り敢えず気持ちだけ貰っておくよ」
脅されたから要求を聞いただけなのに何故か涼太が恩返しでもするかのような流れになり、何の気持ちも籠もっていないのに感謝までされてしまった
「お前とは会話が成立する気がしねぇ」
嫌味ったらしく言った涼太は踵を返して反対側の道を向いた
「用がねぇなら帰る」
そう言って片手を挙げひらひらと振って歩いていく
「おう、落ち着いたら会いに行く、またな」
と海野がその反対側を歩いて行った
その足音で海野が離れたと分かった涼太が足を止め振り向いた
「次なんてないっつうの」
制服の上から羽織っていたパーカーのフードを被ると今度こそ振り返らずに姿を消した
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