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新しい仕事は8
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迎えのため予定より少し早めに学校に行った
近くにいた生徒に場所を聞いて向かったのは職員室だ
「本日はどのようなご用件でしょう?」
事務の人が対応に出てくる
「私この度、前川家の運転手として雇われた海野と申します」
主人のことについて知って、より良い関係を作りたいと申し出るとあっさりと高2の生徒指導の男の先生を呼べた
「いやぁ、今日は雨でも降るのかと思いましたよ、何せ手がつけられなかったあの子が制服をきちっと着ていて、授業にも出てるんですよ」
海野個人の訪問だとわかっても気前よく教えてくれた
「授業はちゃんと聞いてますか?」
「そりゃもう、ノートまで取って、珍しい光景で私も何度も当ててしまったのですが平然と難しい問題に答えるので…今日みたいにしてくれたら有名な国立大学にも推薦で通らせることが出来るんですけどね」
「そんなに…ところで涼太様には友達がいるのでしょうか?」
「そうですね、不良仲間とならよくつるんでますね、あとよく女子に囲まれてますよ」
「そうですか」
これは概ね予想通りだ
好き好んで不良とつるむのは不良ぐらいだろうし、顔が良い涼太のことだからずっと女子をはべらせているのだろう
「本日は有り難うございました」
「いえいえ、ここまでする運転手は今回が初めてでしたよ、きちんと涼太君のことを考えてくれてると分かりました、その熱意が伝わると良いですね」
車に戻り車内で待つと程なくして歩いて来る涼太の姿があった
運転席から出て後ろのドアを開けて待機する
「お帰りなさいませ」
どうぞ入ってくださいと言わんばかりに手で招き入れる
「今度からわざわざ降りて開けてくれなくていいから、そんぐらい自分で出来るし」
運転席に乗り込みながらそう言われた
「ですが、そう教育されてまして」
やんわりと断ると大きな溜息をついた
「ドアを開けるのも自分でしちゃダメなのかよ、あと2人の時はその喋り方やめろって」
文句の多さからイライラしているのが分かった
「分かったよ、涼太の言う通りにする」
観念して車を発進させた
「はぁ、あいつらに何て言われるか…」
「あいつらって?」
「俺の仲間、今日行く予定だったのにお前のせいで」
「ははっ、悪ぃな、こっちも仕事なんだよ、ところで久々の授業はどうだった?」
窓の外を眺めていた顔が一瞬だけ鏡を通してこちらを一瞥した
「別に、つまんねぇとしか思わねーよ」
「あっそ、先生は見直したって言ってたけどな」
「興味ない」
クソッ、こいつ、とことん話を続ける気がねぇな
話題を出せば出すほど空気が淀んで行くのが分かった
結局それだけしか話せず家にまでついてしまった
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