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そんな事は知らなかった2
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車が止まるとフェンスの向こう側に不良がたむろしているのが見えた
たむろ、というよりスーツ姿の男5人ほどに3人の不良がリンチにあっているようだった
車から降りた涼太が器用にフェンスを乗り越えて向こう側に行く
「テメェがリーダーか」
鉄パイプを肩に掛けたスーツ姿の男がそう聞いた
「はい、そうです」
「赤木さん、リーダーだそうです」
男が後ろを向いてそう言うと暗がりに人が居るのが見えた
「やっとか、待ちくたびれたぜ」
赤木さんと呼ばれたその男はダッフルコートを着ていて顔には大きな傷が走っている
如何にもヤクザのような風貌で両手を上に伸ばして首を回しながらダルそうに歩いてきた
「えーと、確か涼太だったよな」
「はい」
「今の世の中ヤクっちゅうもんには良いイメージがない、もちろん組でも扱うのは禁止されてる、知ってるよな?」
「はい、皆んなにも言い聞かせてありました」
「ヤクには警察がつきものや、もし公になってサツがうちの組に踏み込んできて証拠品があるんやったら、それはうちの組にもどうにも出来ん、分かるか?」
「はい」
涼太がそう答えた瞬間、赤木は近くにあったドラム缶を蹴り倒した
「分かっとんやったら何で未然に防ぐことが出来んかった?手前が腑抜けやったからとちゃうん、あぁ?何や言いたいことがありそうやな、ん?ゆうてみいや」
「すみませんでした」
涼太はその脅しに怯むことなく頭を下げて謝った
「聞こえへん、声の届かん上なんかおるか?リーダー失格とちゃう?」
「すみませんでした!」
もっと深く頭を下げ大きく声を張り上げる
「ふん、まぁええわ、今回は上手く揉み消せたようやし、ただ明日組長に会うてもらうで、何処から仕入れたかとか今の内に調べとき、ほな、明日ここに書かれた通りに動きな」
涼太の足元にくしゃくしゃに丸めた紙を落とすとコートの裾を翻して行った
その姿が黒い車に乗り込みそれが見えなくなるまで涼太は頭を下げていた
車の音が聞こえなくなるとしゃがんでその紙を拾ってパーカーのポケットに入れた
「お前ら大丈夫か?」
仲間に駆け寄る涼太の姿を見るまで窓を開けて会話を聞きながら空気を読んで車の中にいた俺は後ろから救急箱を取り出してそちらに駆け寄った
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