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俺の友人
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『ここだけの話、二人はデキている』
そう言われ続けて早5年。
真実など誰も興味はない。『ここだけの話』とされていることを、隠されていることを自分は知っているという優越感が大切なんだ。たとえそれが秘密でなくても、隠そうとされてなくても。
『ここだけの話』と始めれば、恰もそうであるように聴こえ、その言葉を水に肥料に優越感がすくすくと育つ。
その優越感を味わうために『ここだけの話』に耳を傾け、その優越感を噛み締めるために『ここだけの話』を語る。
そうしていつしか『ここだけの話』はここだけの話ではなくなる。
『ここだけの話、二人はデキている』というのは今や学年の枠を越え、ほぼ全校生徒が知っている……と思われる。
いや、確認したことはねぇよ。わざわざしないだろ、『君、俺たちがデキてるって話、知ってる?』なんて。間違っても自分の口からは言いたくねぇ。アイツととか俺の趣味悪すぎだろ。
そんな全校生徒が知っている『ここだけの話』も最初は教室内という最小規模だった。アイツの「ダーリン」だなんて揶揄されて、俺もアイツも面倒で否定していなかった。……悪ふざけだったよな?まさか本気で言って……いや、流石にそれは……。
…………なんか怪しくなってきたな。
いやいや、とにかく当事者の『俺たち』はふざけてただけだったんだ。それはそのうち教室という枠を越え、廊下や食堂で行われるようになった。
男子中学生なんて授業以外は移動一つとっても友達とギャーギャーいうのが仕事みたいなもんだろ。当たり前に教室での悪ふざけが校内を闊歩する。そしてそこに居合わせた生徒がこれを目にする。
こうして『ここだけの話』が始まった。
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