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鬼と仏と小動物
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只今、僕、夕祐君は、鬼と仏に睨まれております。
「お前はいったい、何してるんだ」
鬼、こと檜山は腕を組んで仁王立ち。
「まったく、小学生じゃないんだから、木登りなんて」
仏、こと戀兎は穏やかだが目が笑ってない。
そんな3人の光景を、ガタガタ震えながら見ている岩龍君、いちよう何度か話に割って入ろうとしたが、あっ、とか、うっ、とか、言ってあの口調じゃ到底無理だ。
「落ちて怪我してからじゃ遅いんだぞ!」
「ぁ、ぁの」
「そうですよ。それに火浦君、仮にも今副リーダーなんですよ」
「ぁ、ぁの」
「まったく、尻だせ!ペンペンしてやる!」
「あの!」
「…」
「ぁ、ぁ、」
「そこのお前!さっきっから言いたいことあるなら腹から声だせ!」
一所懸命話しかけてた岩龍に、イラっとした檜山が、吠えた。
ビクーッと背筋が伸びて全身がブルブル震えている。
ああ、泣いちゃうかもよ…檜山君。
前髪で様子が見えないけど、岩龍は下唇を強く噛み締めて、拳を握った。
「ぼぼぼ、僕のせいなんです!!」
「!」
「ご、ごめんな、さい!」
がばっっと頭を下げ。檜山がビックリしている。戀兎も目を丸めた。
「あ、あ、あの、僕の手帳をとってくれてたんです、木に引っかかってて、僕がビックリして、大きな声出しちゃって、ごごごめんなさい」
「岩龍君が謝ることないよ、僕が勝手に登ったんだから」
「い、いいえ!僕のせいです!だ、だから罰なら、ぼ、僕が受けます!」
言い放った岩龍に、3人とも呆気にとられた。
岩龍君ってビビりだけど熱いの?主張しっかり持ってんじゃん…なんで、そんなビクビク喋るんだろう?
「あれ?ぼ、僕。日本語変でした?」
3人がいつまでも彼を眺めているので、不安になった岩龍が、一歩下がってプルプル震えてる。
「お前何?ちゃんと意見言えるじゃん、なんでそんな、しゃべり方なの?」
「え、あ、やっぱり、変?…」
「いや、だから、なんで、どもるんだよ!」
「ひっ!」
檜山君、目つき目つき、岩龍君ビビってるから。
檜山的には普通に話してるつもりだろうが、鋭い目が、イメージを恐ろしくしている。見かねた戀兎がフォローに入る。
「岩龍君、彼は檜山君、高等部1年で、初等部1年からこの学園にいてなんでも知ってるんだよ。檜山君、彼は岩龍君、今年から寮に入った中等部1年生だから、優しくしてあげて」
「あっ、はい」
檜山が、戀兎の言わんとすることに気付いて、眉間を手で隠した。
「岩龍君は、怪我とかないの?」
「ぼ、僕はなんともありません」
ブンブンと手と首を振る岩龍だったが、中途半端に手にしていた生徒手帳が一緒にパタパタ開いたり閉じたりしている。夕祐が慌てて声を出す。
「岩龍君見えるよ!」
「え?!」
一瞬、動きが止まったが、何のことか分かったみたいで、生徒手帳を後ろに隠してブルブル震えながらうつむいた。
「なにが?」
檜山が、声を発するとそれに弾かれたみたいに岩龍がその場から逃げ出した。
「あっ、おい!」
彼はあっという間にいなくなって、引きとめようとした檜山が、俺のせい?って目をして夕祐みたが、
「大丈夫だよ」
って言うと、檜山は頭をかいた。
とりあえず、引き上げることにした3人、戀兎が夕祐の手首をガッチリつかんで、医務室へ引きずる。足を滑らせて枝につかまった時、両手を擦りむいた、舐めときゃ治るって言ったら、戀兎にこずかれて、檜山に睨まれた。ため息をついた戀兎が
「せっかく、お昼食べたら、勉強前に外出しようと思いましたが、テスト勉強漬けにしましょうか?」
え?!
それって…2人で?
ってか、デート!?
そんなこんなで何故か出掛けることになって、檜山に岩龍君のこと聞かれたりとか、お昼ご飯の味とか全く分かりませんでした。
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