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まだまし
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(次の日、戀兎のとった行動は…。)
「火浦君、コレ、間違ってるよ、テスト勉強昼前に終わらせて、午後ゆっくりするんだろ?、集中して」
「う、うん」
「…、クマができてる」
そっとほほに、あの長い指が触れる。
「夜更かししちゃダメだって、言ったのに」
(無かったことにする。だった。)
優しく眉を寄せて微笑む。戀兎。
僕の気持ちは変わらない。
だから、僕は笑える。
「岩龍君と、話が盛り上がっちゃって、てへ☆、でも、眠くないから大丈夫」
「ふふ、眠そうだけどな」
「続きをお願いします。有馬先輩」
変わらない戀兎に、ホッとして。優しい戀兎に、寂しさを覚える。でも、大丈夫、想像した中で一番平和な結果だ。
今はそばにいられるし、任された見回りの仕事もある。
よし、頑張ろう。
「あっ、戀兎見っけ♪」
背後から、艶のある声が楽しげに近づいてくる。
夕祐が振り返ると、スキップしながらやってきたマキだった。
マキは軽やかなステップのまま戀兎にダイブしての首に巻きついた。
「ちょっ!マキ!」
「はいはい、図書室では静かにね♪」
巻きつくマキをはがそうと、顎をギューっと押すが、マキは離れない、そのマキに、夕祐は、ふと、違和感を覚えた。
日曜日だから、3人とも私服だが、マキの格好は、春にしては厚手、今日は暖かい方だ、なのに、生地こそ薄いが黒のタートルネックで袖は指の根元まで長さがある、ぶかぶかってわけでもなく、腰回りはスッキリしてるからそういう服なんだろう、熱くないのかな?と思うような格好だった。
「いいなぁー、俺の勉強も見てよぉ」
マキは、帰れと言う戀兎の忠告を無視して、夕祐の隣に陣取り、両手で頬杖をついて拗ねた可愛い声をだす。
あっ、甘い匂いがする、マキさん、香水つけてるのかな?フルーツみたいな匂いだ。
夕祐が気を取られてれてると、ズイッとマキの妖艶な顔が夕祐の頬まじかまでよってきたから、夕祐は、驚いてのけぞった。
「今書いたの間違ってるよ♪」
「あっ、あ、ありがとうございます」
驚きで固まった僕を見て、マキがおかしそうに笑い出した。
「ゆうちゃん可愛いね、童貞?」
「え!?」
その瞬間、丸まった教科書がマキの脳天に振り下ろされた
ースパーン!
「痛いなぁ、戀兎」
「勉強の、邪魔です!」
図書館は静かに、とかマキはもっともらしいことを言いながら戀兎とヒソヒソ揉め出した。
な、仲良し?
イマイチ2人の関係性が見えない、近い存在ではあるが、戀兎の厳しめな物言いに、引っかかりを覚える。
「痛、」
立ち上がってじゃれてたマキが、右手を引っ込めた。よく見ると、白いものがチロリと覗いている
「あ、ごめんマキ、貸して、ほどけてる」
「うん」
戀兎が、夕祐とマキの間に立ち、何やらし出した。
戀兎、わざと間に立って僕から見えないようにしてる。アレ、包帯だよね?怪我してるのかな?
あ、もしかして、昨日の不良?でも昨日は、なんともなさそうだったし。戀兎、見せないようにしてるってことは、触れない方がいいかも。
「はい、できました。お部屋へ戻りなさいマキ」
「えー、やだぁー、ゆうちゃんのそばにいたぁい」
駄々っ子みたいに口を尖らせてプリプリしてるマキ、とらえどころがイマイチわからない。
「あれ??図書室で騒いでる人がいると思ったら、マキちゃんだぁ」
陽気な声が聞こえてマキがピクリとした。声のする窓の方を見ると、ジャージ姿の、ポチ、こと犬山先輩が外から顔を覗かせていた。
「あー、マキちゃん今日は随分濁ってるねェ??昨日はお仕置きぃ?」
お、お仕置き?
戀兎の隣にいたはずのマキがいつの間にか犬山の目の前に行き、何やらもめ出した。
それを見た戀兎が、長机に広げてあった夕祐の教科書やらノートをまとめて持って、出入り口を指差す。マキと犬山の方を見ると、犬山がマキに抱きついて、マキに見えないようにこちらに向かってヒラヒラ手をふっているから、慌てて戀兎に続いて図書室を後にした。
犬山先輩もマキ先輩と知り合いなのか、同じクラスなのかな?
疑問ばかりになった所で、
ーグー。
と、お腹の虫が騒ぎ、前を歩く戀兎が笑い出す。歩きながら横目でこちらを見て
「少し早いけど、お昼食べに行こうか」
あ、一緒に?
「うん!」
「眠い頭が働くように、プリン買ってあげるね」
「ありがとう!大好き!」
夕祐が笑うと戀兎は、前を向き、二人で足早に食堂に向かった
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