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出会い
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お昼前の共同スペース屋上。
今日はテストで2時間目までで終了。
屋上には四人しかいない。
今日も元気な双子の小悪魔ちゃんは、真面目にテストの答え合わせをしている。
「あー!!ここの訳間違ったぁー!」
問題用紙をぷるぷるさせて叫んだのは夜風。その向かいで淡々とツッコミをする春日。
「夜風はせっかちだから引っ掛けに気がつかないんですよ」
今日のお昼はサンドイッチ。
種類がびっくりするぐらいあって
、ハム、ツナ、玉子、ポテト、アボガドシュリンプ、ブロッコリーアボカド
極めつけは野菜ジュースのパックが付いていた。
なんて、健康的なんだ。
「夕祐、残すなよ」
檜山君の一言にギクリとした。
それが、何を示しているかすぐに分かった。
別にいいよ、嫌いって訳じゃないし、好まないだけだから、食べれるし。
僕は一番初めにブロッコリーアボカドから取ってガブリとかぶりついた。
「夕祐さん、何が嫌いなの?今までそういうのなかったじゃん」
「夜風、なかったんじゃない、うまく逃れていたんだ」
夜風の質問に厳しいツッコミが入る、今まで檜山が黙認していたのは、夕祐も気がついていて、いつもありがたいと思っていたが、どうして今日は指摘されたんだろうと夕祐は首を傾げた。
その時、屋上の扉が控えめに開いた。
扉から顔を覗かせたのは、岩龍君だった。
「あっ!夕祐さん、あ、あ、あの、皆さん、こんにちは」
岩龍君が丁寧にお辞儀して、パタパタ夕祐に近づいて、1枚の紙切れを渡してきた。
「あ、あ、あの有馬先輩から預かってきました、お、屋上にいるから、渡してほしいって」
渡された紙にはたいしたことは書いておらず、どれもメールで済みそうなものばかりだった。
首を傾げた夕祐、そもそもなぜ屋上にいることを知っているのだろう?
「じゃ、ぼ、僕は失礼します」
岩龍の言葉にハッとした。
「岩龍君!」
「は、はい」
「お昼これから?」
「え?、は、はい」
僕の言葉にビックリした様子の岩龍君。
そして、意図を感じとった檜山が夕祐を見た。夕祐は檜山の視線を受け、彼に、にっこり笑顔を向けた。
檜山は視線を岩龍に向け、頭をかいた。
「岩龍」
「は、はい」
檜山の低い声に、ビクッと背筋を伸ばした岩龍。
「サンドイッチでよけりゃ、一緒に食べるか?」
「え!?あ、あ、はい!」
驚きでわたわたする岩龍。
そのやりとりに双子が反応していた。
「誰それ」
夜風が普通に尋ね、目の前まで寄ってった。
「おい、夜風!」
「あ、ぼ、僕!岩龍剛です!中等部1年5組です!」
「俺、檜山夜風。同じ学年だね、俺2組」
春日も近くまで歩み寄り、夜風の隣に並んだ。
「僕は、檜山春日、1組です」
「あ、は、はじめまして」
「なぁーなぁー、なんでそんなにビクビクしてんの?どもるの?なんで前髪長いんだ?」
夜風のいきなりの質問ラッシュに押され、岩龍が一歩下がる
口を挟もうと夕祐が立ち上がりかけたのを檜山が襟を掴んで止める。首がちょっとしまってちょっと涙目の夕祐が振り返ると、眉を寄せた檜山が首を振った。意味が分かって座ると檜山は分かりやすく「お前がいつまでも面倒見ることじゃない」って目をした。
檜山には、木登りした日に、だいたい話してあった、友達になったんだ、と言った夕祐に対し
『お前じゃ解決出来ない』
って冷たく言い放った。
でも、夕祐は分かっていた、その言葉の意味を。
「あ、す、す、すいません」
ペコペコ謝る岩龍はなぜか耳が真っ赤だった。それを見て春日が
「僕たちを知ってる?」
と言うと、岩龍はコクコクと頷いた。
「あ、あのスッゴイ美人の、み、み、ミス神明ですよね」
ミス神明!?
夕祐が驚いて目を見開き。
檜山は、ああ、って頭をかいて。
夜風はゲラゲラ笑い出した。
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