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マキ3
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「有馬先輩?…普通だったよ」
部屋に戻って戀兎のことを尋ねると、檜山はそう答えた。
木曜日
「ふぁあ」
大きなあくびをした夕祐は、眠い目をこすった。
前日、戀兎の教えがなかったので、遅くまでテスト勉強をしていて、ギリギリまで寝て登校していた。
寮生活の彼には、ほんのちょっとの距離だが、朝の賑やかな登校風景は、学園生活を満喫するための楽しい風景の一つだ。
「うは!くまちゃんできてるじゃん夕祐君」
「あ、お早う夏美ちゃん」
後ろから掛けてきた夏美がポンと肩を叩き、前に回って見た夕祐の顔に吹き出して笑った。
「おはよう夕祐、檜山」
「おはよ」
夕祐の横に並んで歩いてた檜山が表情を変えずこたえ
「なーに?檜山も寝不足?」
「化学苦手」
「あー、そっか、今日だもんね」
ケタケタ笑った夏美は成績上位人、余裕の笑みだ。
「そういえば、夕祐君さぁー」
「何?」
夏美は人通りの多いい校舎内だというのに、スルンと腕を滑り込ませて腕を組み頬を寄せた。
「もう、有馬先輩と図書室で勉強しないの?」
「んー、しないよ」
また、教えてもらう約束はしているが、今回のテストではもうないし、檜山も加わったから、部屋でするだろうと思いそう答えた。
「えー、なんだぁ、遠くからでも眺めるチャンスだったのにぃー」
腕にもたれた夏美が、残念!と肩を落とした。
「また機会があったらって。先輩忙しいみたい…次があったら、夏美も加わる?」
「キャ!滅相もない!!いいのよ私は!目の保養よ!隣にいたら見れないじゃない?」
「そうなんだ」
夏美は腕を強く引っ張り力説しながら
、でも一緒にやりたそうにしていた。
すると後ろから一人の声が参加してきた。
「は〜い♪お勉強会立候補しま〜す♪」
聞き覚えのある声、台詞。
白くて細い二本の腕が伸びて、夕祐の首に巻きついた。
「きゃ!!」
夕祐より先に相手の顔が目に入った夏美は黄色い悲鳴とともに、腕を離し、真っ赤になって後ずさった。
ふわりと甘い香水。夕祐はため息交じりに名前を呼んだ。
「…離して下さい、マキ先輩」
振り返らず、夕祐が名前を言い当てると、マキは不満そうに目を細め、耳元で囁き、ゾクリとするような艶かしい声を出す。
「ゆうちゃん、つめたぁーい」
独特の甘い香水。
言葉遊びをして、自分をアピールしてるくせによく言う。
「そこの子は彼女?」
「え?」
突然の質問に後ろを振り返る。
マキが目と鼻の先で、妖美を漂わせて微笑んでいる。
「違います!!」
夏美が全力で否定に入り、彼女は興奮で顔を紅潮させ、夕祐は目を丸くする。
「夕祐はフリーです!!彼氏募集中です!!」
「え?!」
「ほぉんとぉー?うれしぃー♪」
ちょっと!夏美ちゃぁーん!!
夕祐は耳元で感じるマキの吐息にゾワリと鳥肌を立てて青ざめた。
横で見ていただけだった檜山が呆れて目を細め、マキの肩を掴む。
「先輩、それくらいにして下さい」
「ふふ」
マキの肩に触った檜山の手をふわりと包み、指先で手の甲を撫で、妖艶に微笑む
「…」
檜山が何の反応も示さない
マキはパッと表情が変わってキョトンとした。
「あれ?」
「手、離して下さい」
檜山が手を抜き、マキと夕祐を引き離す。マキはすんなり離れて檜山の名札に目を止める。
「ひのやま」
「はい」
「檜山…日向詩」
「はい」
「あっれー、大人になったね、イケメンじゃん」
どうやらマキは檜山を知ってるようで、檜山の反応もそんな反応だ。
マキさんって顔広いんだなぁ…檜山君の場合特別か…兄弟全員この学園に通ってるんだから、有名人なんだよな。
「マキ先輩は…」
ー♪叶わない恋だと♪ピッ
「はーい」
携帯の着メロにニヤリとしたマキ、陽気に通話ボタンを押し、軽い返事をしてへらへらしている。
そして相手と話しながら、チラリと夕祐と視線が絡む。
何?誰?
「ふふ、えー?気になってるかなって、…大丈夫だよー」
マキは電話をの相手に話しかけながら、夕祐を見て笑い
夕祐の元に夏美が戻ってきて耳元に寄った。
「誰からだろうね」
「わかんない」
その二人の様子にマキは目を細め、ニコリとして夕祐に手を振る。夕祐は首を傾げ、夏美 頬を染めてマキに手を振り、マキは夕祐のはるか後ろの人物に向かって声を張って駆け寄った。
「一緒にいこーよー、れーんとー!」
廊下の先に、携帯を耳にあて、こちらを見ている、戀兎がいた。
「あっ」
「きゃー有馬先輩!」
夏美が興奮して夕祐の背中をバシバシ叩いた、「いたた!」夕祐が痛がっても夏美の手は止まらず、背中を叩き続ける。
マキが戀兎に抱きつこうとして、手のひらで止められ、何か言って、手を握る。マキが夕祐に向かってまた大きく手を振り、夕祐がそれに答えると、戀兎もこちらに手を振り、2人は手をつないだまま、角を曲がって行った。
「あーん、ツーショット!貴重!」
隣で興奮した夏美が悶えている。
夏美の行動にため息をついた檜山
「夕祐」
「…え?」
「教室へ行こう」
「…うん」
夕祐達3人は、そのまま教室へ向かった。
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