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まず一歩
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日曜日の朝。
久々にスッキリ起きれた気がする。
今日の夢は、屋上の昼食メンバーに戀兎が加わって楽しくご飯食べてる夢だった。双子の賑やかっぷりに、大騒ぎだったけど、いい夢だった。
朝食を食べに食堂に行く。
戀兎いたりしないかな?っと元気になってることを期待したけど、見かけなかった、後で様子を見に行こうと思っていたら、目の前の廊下を走って横切る岩龍君がいた。
「おはよう岩流君!」
「あ、おはようございます!」
岩流君は8時ちょっと過ぎなのにすでによそ行きの格好をしていた。
「どこか行くの?」
「は、はい。取り寄せてた本が来てるって連絡があって」
ウキウキしてる様子の彼を見るのは初めてだ。
岩龍君はニコニコしながら一礼して嬉しそうに走って行った。
そういえば岩龍君、一昨日も本屋に出かけてたな…僕と戀兎と会って不良に絡まれた日も本屋の帰りだった…すっごい本好きなんだなぁ、戀兎と話が合いそう。
「でも、今から行っても店やってないんじゃ…」
そう思ったけど、岩龍君の姿はもう寮の外だった。
それから、夕祐は戀兎の部屋に来ていた。
部屋には、休みなのに制服姿の水森が来ていて、戀兎の体温を測っている。
「36度7分、もう平気ですね」
水森はたんたんと告げて、体温計をケースに舞い込む。
「水森の持ってきてくれた漢方薬が効いたのかも…すっごい苦かった」
ベットで上半身を起こしてる戀兎が薬の味を思い出して舌を出して顔をしかめた。
「あれはうちで特別に調合したものですからね、凄く効きますよ」
チラッと言ってたけど、水森先輩は超お金持ちらしい。そして、すっごい立派な日本家屋に住んでて使用人とかいるくらいのレベルらしい…一般人の僕には分からない話だ。
「なんか…ワザと苦いの持ってきたでしょ?」
「人聞きの悪い…1番ではないですよ、フッ」
不敵に鼻で笑った水森先輩。
1番では無いだけで、ワザと苦い、は否定しないんだね…きっと戀兎も同じ事を考えているんだろう…
「どうもありがとうございました」
棒読みに近い台詞で言う戀兎
「どういたしまして」
それを大人の余裕的な笑いで交わして立ち上がる水森。
なんか同級生と話す戀兎の態度や仕草は、子供っぽく見える。可愛い。
「僕は失礼しますよ、じゃあねお二人さん、また明日」
「あ、水森先輩」
ドアに向かって背を向けた水森が振り返る
「はい」
「明日は部活ありますか?」
「ありますよ」
「はい、ありがとうございます」
「お待ちしてますね」
「はい」
にこやかに微笑んだ水森は、戀兎の部屋を後にした。
扉が閉まり、視線をベットの戀兎に戻すと、今の会話に驚いて戀兎が口をあけている。
「…占い部に入ったの?」
「うん」
「いつ?」
「金曜日」
何故か戀兎の眉間にシワがよる。
「金曜って…水森に会う機会あった?」
「戀兎のお見舞いに来た時に…」
「部屋に来た時一人でしたよね?」
「あ、それは夕方来た時ね、昼過ぎに来た時は、マキさんいたじゃん」
「え゛?」
戀兎が、知らない…といった顔をしている。
熱が高かったから…記憶が曖昧だったのだろうか…
戀兎が考えるようにうつむいた。
「…覚えて……、僕…なんか…変なこと言わなかった?」
覚えてないんだ…
そうだよね、あの時の戀兎おかしかったもん…
「言ってないよ」
「…」
完全に忘れてるって反応でもない…、でも、戀兎には聞かなかった事にしてあげた方がよさそう…
「そういえば、中山先輩だいぶ具合良さそうだったよ、咳だけしてたけど。戀兎は今日は休んでて、熱が下がったばかりだから、ぶり返しても困るし」
「でも…」
「はいそこ!」
夕祐はビシッと指を鼻先にあてると、戀兎の目が中心に寄った
「でも、ではありません!大人しく寝ててください!」
「…はい」
「なんか、欲しい物とかある?あるなら買ってくるよ」
ニコニコしながら質問したら、戀兎がこちらを伺うように見つめてきた
「…」
「どうしたの?戀兎」
「あっ、いや」
何か言いたい様子だったが、戀兎は口にしなかった。
「なんかあったら連絡してよ、僕でよければいつでも来るし」
「…うん」
「じゃ、そろそろ行くね。また、後で顔出してもいい?」
戀兎は微笑んで眉を寄せた。
「うん、いいよ」
「じゃ、後でね」
ヒラヒラと右手を振ると戀兎も手を振り返してくれる
夕祐は戀兎の部屋を後にした。
よし、この調子この調子!
その日の昼過ぎ、戀兎からメールがか来た。
《お礼も兼ねて、夕食一緒にたべませんか?体調も落ち着いてるので食堂に行こうと思います》
僕は即座に了承のメールを送った。
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