アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
マキ降臨
-
ニコニコ悪戯な笑みを浮かべるマキさんは、綺麗で妖艶で恐ろしく美形、ハーフっぽい顔立ちは誰もが見惚れるに違いない。
別にマキさんなんか好きじゃないけど、綺麗すぎるその顔は、ドキドキバクバク心臓は煩くて、緊張してしまう。
マキさんは僕の口を塞いだまま、耳元で艶っぽく囁いた。
「ゆうちゃんって、戀兎が好きなの?」
「んー!んー!」
「ああ、ごめんごめん」
ペロッと舌を出してお茶目に笑ったマキさんは、やっと僕の口から手を離してくれた。
「っプハッ。はぁー、そんなことを聞いてどうするんですか?」
「戀兎を抱きたいの?それとも抱かれたいの?」
「エッ?!」
好きかと聞いたかと思ったら、抱くとか抱かれたいとか、そんなのは今関係ないじゃん!もっともっと先の話じゃん!
心ではそう叫んだけど、脳裏には夜夢に見る戀兎とのエッチな妄想がチラついて顔が真っ赤。
「な、何言ってをですか!」
「ふーん。ライク止まりってこと?ライバル失格だね」
「ちょっ!マキさんはいったい何が聞きたいんですか?」
「ふふ♪君が悶々としてるみたいだから相談に乗ってあげようかと思って」
本気?!嘘だ!その目は獲物を見つけたように鋭く光ってますよ!!
「ふふ♪ねぇ、どっち?抱きたい?抱かれたい?…それともそんなこと考える訳ない?男だから?」
人が何年も悩んだことを、サラッと口にしてしまうマキさん、ちょっと腹が立ったけど、そういえばマキさんはゲイだって聞いた。きっと、こんなのはずっと前に悩み終わったことなのかもしれない。
「マキさん…男の人が好きなんですか?」
質問した途端、マキさんはキョトンと瞳を瞬いた後、可笑しそうに笑みを深めた。
「ふふ♪今更何言ってんの?噂聞いてるでしょ?それに僕と戀兎の中を散々嗅ぎ回ってるくせに♪」
「…それは」
「ゆうちゃんさぁ、戀兎を追いかけてこの学校に来たんだろ?じゃなきゃこんな山奥の学校わざわざ受験しないよね♪」
「…」
「でもさぁ、好意を寄せるのは簡単だけど、お子様じゃないんだから一緒にいられれば満足とか言わないよね?」
マキさんは、意地悪な言い方をしながら、僕から何かを引きだろうとしているように見えた。
それが何なのか、漠然とし過ぎてて、ピンポイントでは分からない。
「…お子様とかお子様じゃないとか関係なくないじゃないですか。僕は戀兎と一緒にいたいと思った。僕は、戀兎が好きです。でも、とっくに振られました」
「ありゃ、意外に行動力あるのね♪。んで?何で押し倒さなかったの?」
「は?マキさん、さっきっから何言ってるんですか!」
「何って、男なんだから分かるでしょ?好きな子がいたらキスして押し倒したい、それが本能でしょ?」
可愛らしく首をかしげながら、物凄いことを言うマキさん。この人は、どうしてこんな言い方ばかりするんだ。ワザとにしか見えない。
「その前に同意がなければそんなことできないし、好きだからこそ、キスもできないし、その先だって…」
「好きになったのに、その先ができないの?ねぇゆうちゃん、それって本当に好きなのかなぁ?」
色っぽく微笑みながら、その瞳が鋭く細められた。
マキさんは基本ふざけてるけど、今ほど真剣な目を見たことがない。
初めて、マキさんを、〝怖い〟と感じた。
「マキさんは、戀兎と付き合ってるんですか?僕を牽制してるんですか?」
「うふふ♪付き合ってはないよ♪、戀兎潔癖気味だからね♪僕が勝手にお気に入りにしてるだけ♪告白したなら言われなかった?『男なんてありえないー!』とか♪」
「…近いことは…」
「じゃあ、もう、諦めてんだ」
「…………。」
「言葉にしなきゃ分かんないよ、お子様君♪」
「ッ。諦めてません、好きな気持ちがそんな簡単に消える訳ない。だから、マキさん、戀兎にちょっかい出すのやめてもらえませんか!」
渾身の力を振り絞ってぶつけた言葉は、マキさんの謎の微笑みにあしらわれた。
「ふふ♪。やぁーーだもん♪」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
72 / 72