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店員と客
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Side haru
胸がドキドキする。
ハ「(俺、今シュンと話してるんだ…。)」
懐かしい。何も変わってない、あのときのままだ。
…でも立場は違う。
俺は怪盗、こいつは警察官。それに今は喫茶店の店員として会っている。
ハ「(バレないように。こいつとは他人。店員と客の関係だ。)」
高まっていた鼓動を抑えていく。
ハ「(顔に出さないように。第三者みたいに。俯瞰的に…。)」
そんなことを考えながら必死に受け答えしているというのに、
シ「どれくらいの頻度で入ってるんですか?」
シ「あれ、思ったより少ない。」
シ「へえ、あそこの喫茶店以外でも働いてるんですね。」
シ「他も飲食店なんですか?」
シ「あ、そういうわけでもないんですね。」
多い多い多い!!個人情報聞きすぎだろ!!
シ「例えばどんなことをしてるんですか?」
ハ「えっと…ちょっとそこまでは…。」
ハ「(言わないよ!これ以上職場バレるの嫌だし!)」
お互いに気まずくなり、沈黙が続く。
ハ「(そろそろ離れたいんだけど…。)」
一緒にいてボロが出るのだけはごめんだ。
そんなことを考えていると、声がかかってきた。
?「お!シュンじゃん!」
そちらを見ると、警察官がひとり向かってきていた。
ハ「(げ!警察だ!)」
シ「ユウタ!こんなところにいたのかよ!」
ユ「こんなところって、警備の位置はお前と一緒だろうが!」
どうやらこの警察官はシュンの同僚らしい。しかもよく見ると、この前シュンと一緒にバイト先の喫茶店に来た人だ。
ハ「(この人、ユウタって名前なんだ。それに警備ってことは、この絵画展に盗みの予告かなんかが来たのかな。わざわざ警察官を動員するくらいだしな。)」
こんな大衆向けの絵画を盗むなんて変わったやつなんだなとか考えてると、どうやら向こうも気づいたようで、シュンが改めて喫茶店の店員だと紹介した。
ハ「ど、どうも…。」
ユ「へえ!いやあ、この間はごちそうさまでした。めちゃくちゃおいしかったですよ!」
ハ「そうですか。こちらこそご来店ありがとうございました。」
礼儀正しい人だなと思ってたら、いきなり
ユ「こいつナンパ癖があるんで気をつけてくださいね。」
とか言われた。まあ、なんかわかる。
別にナンパじゃねえ!とでも言わんばかりの顔をした後、迷惑だったらいけないので、と言って解放してくれた。
ハ「(あの二人、相当仲いいんだろうなあ…。)」
なんだか胸のあたりがチクチクする…。なんだか、昔の俺たちを見ているような…。
ハ「(声、聴きたいな…。しゃべったらボロが出ちゃうかもだけど、声を聴くくらいなら…。)」
深く考えもせず、気づいたら足はそっちの方に向かっていた。
すると、
シ「今シャドウが出たらどうすんだよ!」
とシュンの怒ったような、呆れたような声が響いた。
ハ「(シャドウが出たら…?どういうことだろう?)」
緩んだ口をきゅっと結んで、急いでシュンのところに戻った。
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