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俺の学園生活-2
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俺が行く事になった藤沢学園は、伯父の親友が理事長を務めているらしく、編入はまさにコネだ。
それを知った俺は益々心を閉ざしていったのだが、伯父夫婦は良かれと思い笑顔で俺を送り出した。
中途半端な時期に転入なんて目立って仕方が無いだろうと思っていたのだが、たまにこういう事もあるらしく、これといって咎められる事も無くクラスに溶け込んでいった。
溶け込んでいった?違うな。俺の姿を見た途端、虐める気すら起こせなかったんだと思う。
中学2年の冬から転入した俺の姿は……約半年間もの間の引き籠もり生活と、ろくな食事も睡眠も取らずに不摂生な生活を過ごした結果、やせ細り目の下にクマを作り、瞳だけがギラギラと鈍く光ってかなり怪しげな風貌だ。
その時俺は睡眠障害をおこしていたのだが、伯父夫婦にはバレないようにしていたのでクリニックなどには通っていなかった。
適切に治療を受けるべきなのだろうが、兄にだけ罪を被せてしまった俺は安眠など許されるはずがないと思い自分で戒めた。
寮は二人部屋で個室が2つとリビングが共同で、キッチンが無い代わりに各階に共同で使える水場が設置されていた。
俺が持ち込んだ電化製品は、伯父夫婦に買ってもらった「すぐに湧く電気ケトル」だけだ。これさえあればカップラーメンもインスタントコーヒーも作れるので食に興味のない俺には充分すぎる代物だった。
ユニットバスも各部屋に完備されている恵まれた環境で、最初は狭くて慣れなかったが掃除が楽なので気に入っている。
洗濯機は流石に無いが、乾燥機つき自動洗濯機が各フロアーに何台もあるので、そこを利用している生徒もいるのだが、大概はクリーニング屋に出して洗ってもらう生徒の方が多い。
俺もはじめの頃は自分で洗っていたのだが、伯父夫婦が気を利かせてクリーニング屋との契約を済ませてくれたので、今では専らそれに頼っている。金はかかるがありがたいサービスだ。
ーー何が厳しい環境に身を置きたいだよ。ガッツリ住み心地がいいじゃねえか。
出来すぎた生活に、またもや目標を失いかけて挫けそうになるが、あのまま伯父夫婦の家で緩く過ごすよりはマシだと自分に言い聞かせておいた。
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