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高等部の入学式-1
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あれから俺は記憶を辿って和也兄さんの幼馴染の家に向かった。彼ならきっと兄の連絡先を知っていると思ったのだが、やはり俺の予想は当たっていたのだ。
痩せこけて瞳孔の開ききったやばい俺の姿を見て相手は震えていたけどな!すまん。
兄の幼馴染の家には何回か連れて行ってもらっていたが、うろ覚えだったので記憶が正しい事にホッとした。
人気者の兄はたくさんの友人に囲まれていたが、心は開いていなかったので、校内限定のお付き合いというスタイルを続けていた。だが、この幼馴染とは何故かウマが合うらしく、大学生になってもたまにつるんでいると話していたのを思い出した。
きっと今でも連絡を取り合ってるに違いないと考えた俺は彼から聞き出そうと思ったのだ。
国宝級の日本家屋から出て来たのは、おっとりした雰囲気の男で、俺は学生証と兄と俺が一緒に写っている写真を提示して、弟だと伝えた。
写真の頃とはかなり様変わりをした俺を、なかなか本人とは認められなかった様だけど、昔兄が面白おかしく話していた目の前の男の失敗談をつらつらと話し出すと、真っ赤になりながら、もういいからと止められて、見事に連絡先をゲットした。
交換条件として俺の携番を教えたが、もしかかってきても出なきゃいいだけだと思う俺はいけない子だと思う。
彼は兄と俺の間で起きた過去や、突然の海外留学の理由までは知らないらしく、只の語学留学だと思い込んでいる。弟の俺が連絡先を知らない事を訝しんでいたが当然だろう。
詳しく家庭の事情を知らない事が逆によかったようで、引き取られた俺が新しい家には居場所がなかったのだと悲しそうに話すとあっさり信じてくれた。この人大丈夫なのか?
大切に育ててくれた伯父夫婦には申し訳ないが、彼らに虐げられていた風に匂わせて、唯一優しくしてくれた和也兄さんに連絡が取りたいのだと言う俺の言葉を鵜呑みにし、涙しながら連絡先を教えてくれた。うん、チョロイな。
ほくほく顔で寮に戻った俺だが、いざとなるとヘタレてしまい、連絡先の紙とにらめっこをしている状態だ。
俺が何を言っても兄が救われることは無いのかもしれない、なんて考え出すと一気に自信消失してしまった。
取り敢えずいつでも連絡が取れるようになった安心感と、流石に寝ないで過ごすのにも限界があったのか、ベッドに横になると直ぐにウトウトし始め、浅い眠りの中へ沈んでいった。
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