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高等部の入学式-3
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入学式はメインアリーナと呼ばれている第一体育館で行われた。二階席には保護者がズラっと並んでいて、降り注ぐ視線がうるさく感じた俺は病んでいるのかも知れない。
春休みに会話には出さなかったのだが、きっと伯父夫婦も参列していることだろう。
入学式と言えば、クラスごとに並んで保護者が拍手で迎える中、ぞろぞろ入場するイメージがあるのだが、この学園は違うのだ。趣もへったくれもないが、そこら辺はかなり自由だ。
あらかじめ知らされていたクラスの方へ歩いて行くと、俺の姿を見た外部生らしき生徒が騒ぎ出し、内部生が我が学園の名物だと紹介していた。やめてくれ。
「おおお!あれが噂の魔術師か!」
おいおい……嬉しそうに言うのはやめてくれ。見るからにローブが似合いそうな俺だが、あいにく魔法は使えないんだよな。すまん。
それに俺が読んだ物語に出てくる魔術師は不気味系より美形が多かった気がするので、俺の容姿に例えられた魔術師に失礼だと思う。
目立ちたくはないが、注目されても文句は言えない。気にしなければ良いだけなのだからと自分のクラスの一番後ろに座り、ぼーっとしていると、俺の周りを避けて着席し始めた様子を見て、ゾクゾクするほどの歓喜に酔いしれた。
ーーたまんねえな。周りから拒絶されたこの感じ。
多分ニヤついていたのだろう。記憶にはないが内部生だろうと思われる生徒から、皆が怖がるから笑うのは控えてくれと注意された。知るかよ、早くこの姿に慣れてくれ。
学園長が何やら説明をしたあと、仰々しく紹介されて理事長がステージの上に現れた。中性的で色白な美中年だ。伯父とは親友だと言っていたが、理事長は年齢不詳のオリエンタル野郎だった。
どう見ても30代にしか見えない。不気味な俺よりも彼の方がよっぽど若返りの薬や少女の生き血を啜ってそうだ。
この学園に入った時、伯父に連れられて挨拶をしに行ったのだが、俺を見た時一瞬悲しそうな表情をしたので何事かと驚いた。
後で知ったのだが俺の親父とも面識があったらしく、今回のネグレクト報道も勿論把握している理事長は、俺と親父のことを随分と心配してくれていたらしい。
ーーはあ、親父今どこで何をしてるんだよ。
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