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俺の新クラス-1
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有名私立校に有りがちなクラス分けと言えば、特進Sクラスから成績順にA,B,C……と振り分けられるのが俺の偏った知識だ。しかしこの学園は満遍なく振り分けられるので、各クラスに成績のピンからキリまでが揃う。
入学式でそこの部分だけが耳に入って来たため偶然に知る事となったのだ。ちなみに中等部も同じシステムだという事を今更知った。
学年ごとに棟が別れているのは大人数ならではだと思う。収まりきれないからな。化学室や音楽室などはまとめて、別に建てられた棟に集められているので、移動教室の時は渡り廊下を通って別棟まで歩く事になる。
中等部の時もそうだったが移動教室の時、ふざけ合いながら少し騒いで友人達と仲良く、など俺の辞書には無い。
もちろんぼっちで移動していたが、誰にも気を使わなくて良いから案外楽なんだ。可哀想な目で見られるのは慣れっこだが、俺はトイレすら一人で行けないようなやつの方が心配になる。
中等部の頃、渡り廊下から後輩がやって来て、神崎や百瀬にまとわりついている姿を目にしたが、俺自身が男にモテても嬉しくないので目障りで仕方が無かった。これからもやつらに萌えを感じることは無いだろう。
校舎は3階建てで外観は至ってシンプルな作りをしており、決してアニメに出てくる様な豪華なお城では無い。萌葱色をしているのは誰の趣味なんだろうかと、センスを疑わなくも無いが、何色だろうと教室に入ってしまえば分からないのだから気にする必要も無いな。
2階が1組から5組、3階に6組から10組があり、1階には資料室や各教科の準備室などがあるようだ。生徒が順番で資料の整理をしていくらしいのだが非常に面倒くさい。
俺は1年3組の教室に入り、出席簿順に席が決まっているのを確認すると、無言のまま誰とも挨拶を交わす事なく静かに座っていたのだが、今現在かなり困惑している。
「なあなあ、無視するなよ。てか聞いてなかったりして。俺の名前理解してる?」
俺の苦手なキラキラ系の爽やかイケメン男子に絡まれているのだ。頼んでもいないのに自己紹介をし始めたこの男は、どうやら外部生で陸上のハイジャンプを得意とするスポーツ大好き青年なのだそうだ。俺けっこう聞いてるじゃん。
「マジで瞳孔開いてるんだな!目力すげえ!まじウケるんだけど」
ーーいやいや、まじウザいんだけど。
普段は周りから疎まれる存在の俺に、あからさまに嫌な顔をされているのにも関わらず、全く気にした様子もなく一方的に話し続ける勇者がいたとは……これまたビックリなのだ。
そこで戸惑いを隠せずオロオロする俺に救いの神が現れた。
「あのさ、そいつ佐藤って名前の危ない奴なんだけど。多分いくら待っても気持ち悪いくらい喋らないから待ってても無駄だと思うよ」
さり気なくディスりながらも俺の説明をしてくれた内部生に感謝しようと思う。ありがとうの意味を込めてニヤリと微笑むと、ヒイイッと悲鳴をあげて遠ざかってしまった。感謝の気持ちも瞬時に失せる。
「クックックッ。なんだよお前その顔!笑ってるつもりなのか?逃げられてんじゃん」
チッ。懲りない奴だな。
俺に話しかける奇特な人間は百瀬ぐらいだったので対応に困るのだ。しかも光の国からやって来ましたばりの笑顔が眩しくて目が潰れそうだ。視力が落ちたらどうしてくれるんだ。
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