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俺の同室者-1
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目を覚ますとベッドに寝かされていた。まさか自分が倒れるとは……。
「あ。佐藤気がついたか。よかった、先生診て下さい」
「佐藤くん。呼吸は楽になった?」
そう聞いて来たのは保険医の白川だった。寮の中にも医師免許保持者が常勤している診療所があり、体調を崩した生徒を診てくれたり、インフルエンザ等で動けない場合は部屋まで往診に来てくれるという有難いシステムがある。
俺も中等部の頃、栄養不足と睡眠不足で免疫力が落ちたせいか、頻繁に風邪を患うお騒がせな生徒だったので、診療所にはよくお世話になっていた。
いつもはズレ落ちた眼鏡を仕切りに持ち上げるのが癖になっているお爺ちゃん先生に診てもらっている。彼は気さくながらも、他人の領域に入って来ようとはせず適度に距離を保ってくれるので、そういうところが気に入っているのだが、珍しく外出をしていたようで急遽保険医の白川が俺の様子を見に来てくれたのだ。
ああ、生徒達を食い散らかしていると噂のあるあの白川か。でも思春期の悩める子羊である生徒に的確な助言を与えてくれるのだと隣の席のやつが話していたっけ。
噂なんて大概デタラメだよな……そんな事を思いながら視線を空中にさまよわせていると、白川が深刻な声で話しかけて来た。
「前々から君には言いたかったんだけどね。佐藤くん……君はかなり強いストレスを抱えているんじゃないのか?」
心配そうに俺の顔を覗き込んで来るのだがいかんせん顔が近い!俺は居心地が悪くなり白川とは反対方向へ顔を逸らしてしまった。そんな俺を見て、はあっ、とため息を吐くと男の割に柔らかくて温かい手が俺の頭を撫でて来た。
「今回の呼吸困難は心因性のものだと考えられるよ。入学前に行われた健康診断ではどこにも悪いところは見当たらないし、表面上では問題無い。だが睡眠も取れていないようだし……私の信頼出来るクリニックに紹介状を書いても……」
「大丈夫です。クリニックにはちゃんと通ってますから」
俺はとっさに嘘をついたが白川は疑いの目を向けて「薬は処方されてる?」と聞いて来た。しかし完全に黙り込んだ俺に呆れてしまったのか、それ以上しつこく言う事もなく、まあいいだろうと頷いてくれた。
「今は大切な成長期なんだ。薬が苦手だという意見もあるが、薬ででも睡眠をしっかり取る事の方が大切だと私は思うよ。専門医とよく話す事だね」
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