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束の間の逢瀬-2
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部屋に戻ると朝丘が飛んできて、あまりにも帰るのが遅かったから心配したんだぞと叱られ、申し訳なかったとかなり反省したのだが、炭酸飲料をほとんど飲まれてしまったのでチャラにしてもらおうと思う。
昼間はしゃいだせいか、何人かは床に転がっていて、カードを切りながらうたた寝しているやつもいる。班長の朝丘が必死に起こそうとしてもびくともせず、このまま放っておくかと話していたら、神崎が風呂から帰って来た。
「君たち、そろそろ寝る準備をしようか」
鶴の一声って実際見たのは初めてだ。神崎の言葉にビクッと反応すると、すぐに目を開けてテーブルの上の片付けまでしてから各々ベッドに入っていった。
ーー神崎すげえ。
朝丘も感心したのか神崎にコツがあるのかとまとわりついていたので、俺も自分のベッドへ上がって携帯小説の続きを読み始めた。
結局午前3時まで起きていた俺はやっと微睡み始めた頃に、館内放送で起こされてしまった。しかし、いつもならドロドロなのに今朝は寝起きもいいし、何だか頭もスッキリした気がする。
ーーああ。昨日出したからな。
百瀬とのあんなことやこんなことを思い出して赤面してしまった俺は、同じように赤面している朝丘と目が合ったのだが、すごい勢いで逸らされてしまった。
朝丘も一人で抜いたのかな。まあいいや。俺が早々と追求を辞めたので、神崎が菩薩のような目で朝丘を見つめていた事には気が付かなかった。
朝食を取りに食堂へ行くと、先に来ていた百瀬が嬉しそうにこちらを見ていたが、俺がつれない態度を取ると、慌てて視線を外して続きを食べ始めた。
百瀬にわざわざ挨拶に来るやつが多過ぎて、ビビってしまったのだ。
ーー百瀬には悪いけど……恋人ってのは無理だろう。
臆病すぎる自分とモテ過ぎる百瀬が釣り合うはずがないんだ。そして忘れてはならないことが有る。きっと今も寂しい思いをしているであろう兄を差し置いて、俺だけ良い思いをする訳にはいかねえんだ。
昨夜のほんの一時の幸せすら許されるものじゃ無かったのに。俺は後悔しながらも好きになってしまった百瀬が気になって、やるせない想いを抱えて山を降りた。
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