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俺の打ち明け話-1
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朝丘たちと別れてからは、やる事もなく考えもまとまらないので、大人しく部屋に帰る事にした。一度寮を出ると、コンビニに寄って2リットルの清涼飲料水を2本購入しておいた。
フロア毎に自動販売機は設置してあるが、この容量の飲み物はコンビニにしか売っていないのだ。これから百瀬には包み隠さず全てを話そうと思っているので、長丁場になるかもしれないからな。水分補給はしっかり取るタイプだ。
しかし驚いた。
あの朝丘が俺の親友でしかもその事をごっそり忘れていたのだから、薄情にも程があるだろう。
思い出したきっかけは、兄の電話で大分胸のしこりが取れたのと、俺自身が幸せになりたいと望み始めたからだと思う。
伯父夫婦と兄と俺の4人で楽しく過ごした日々の記憶に蓋をし、思い出さないようにしていたのだから、やはり俺は病んでいたのだろう。今怒涛のようにあの頃の記憶が蘇って来て、正直かなり戸惑っている。
頭がパンクしそうなので、意識的にゆっくり思い出すように調節しないとな。動き始めた脳には負担が大き過ぎる。神経がショートしない様に気をつけねばなるまい。
ブツブツ言いながら寮の玄関ホールまで帰って来た。ついでに俺宛に郵便物が来ていないかポストを覗いていたら、息を切らした百瀬がやって来た。
「仕事終わったのか?」
「ああ、マッハで終わらせて来たぜ」
……マッハでって、いつの時代の言葉だよ。今どき伯父でも使わねえぞ。ちょいちょい残念な男である。
二人で歩いている所を誰かに見られると厄介なので、時間差で部屋に入る事にする。百瀬はもの言いたげな目をしていたが、早く話をしたい欲求の方が勝ったのか素直に頷いた。
百瀬が寮監と話をしている間に先に部屋に戻ったのだが、数分も経たないうちに百瀬も帰ってきた。
何から話せば良いのか悩んでいると、思いつくままで良いから、とにかく正直に打ち明けて欲しいと懇願されたので、腹をくくって小学生の一人暮らしから順を追って話す事にした。
覚悟を決めてしまえば、せき止められていたものが流れ出すように、するすると言葉が出て来た。
親父に置いていかれた話をした時だけ胸が痛んだが、百瀬が泣きそうな顔をしたので逆に冷静になれたようだ。
兄との関係。それが見つかって兄だけ罰せられた事。
その為自分自身で罰を与え、決してまともとは言えない生活を送り、今の不気味な俺が出来上がった事。
家庭を壊した者は、幸せになってはいけないと思い続けて来た事などを含め、全ての事柄を隠すことなく打ち明けた。
百瀬は特に驚くこともなく、俺の言葉に頷きながら、黙って最後まで聞き入っていた。
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