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俺と告白-2
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告白された夜、悲しそうに俺を見てくる百瀬に一応友達になったと報告はしておいたのだが、顔色が冴えないままなので何でも言ってくれと百瀬を促した。
月島は百瀬と同じクラスだったらしく、昼休みが終わると嬉しそうな顔をして帰って来たそうだ。俺と同様に質問攻めに合っていたが、佐藤くんと友達になれたと大喜びしていたのを百瀬は黙って見ていた。
「俺は……同室者としか言えないのに」
百瀬の不満も分からないでも無い。俺たちは只の同室者でそれ以上の関係ではないと常日頃から言っているのだ。
「普通に佐藤を友達と呼べる月島に嫉妬した。俺って醜いよな」
「そんな事ない!自分を悪く言うなよ」
「その内、二人が進展するんじゃないかと不安なんだ」
「それだけはありえないから、俺を信じてくれ」
そうだ。月島も分かってるはずだ。なぜだか懐かれてしまったが、共通の話題で楽しめるやつが出来たと喜んでるだけだろう。深い関係になるはずが無いんだからな。
ーー友達って言ったよな?
あれから何日か経ったのだが予想に反してやたらと月島が接近してくるようになった。
朝丘と速水ですら顔を引き攣らせるほど強引で、やたらと距離が近い。恐ろしいことに噂というものは尾ひれを付けて、いつの間にか俺達が付き合ってることになっていた。いくら俺が違うと言っても佐藤のくせに照れるなよと取り合ってはもらえない。
月島は水泳選手として人気があり、この学園でもかなり多くのファンがいるのだが、今まで奥手だったとかで付き合ったことはないそうだ。
この不気味な俺が初恋だと言い放った瞬間、朝丘がプーーッと水を吹き出して、そこらじゅうが悲惨な状態になったのはちょっとしたホラーだった。
百瀬は最初こそ落ち着いて穏やかに過ごしていたのだが、月島の目に余る行為と噂が独り歩きをしてしまった今は、不安な気持ちを隠せないでいる。
俺はそんな百瀬の心配を打ち消すために、毎晩愛を確かめ合っているのでケツの穴が悲鳴をあげている。百瀬の必死さが伝わって来るだけに、これはどうにかしないといけないなと本気で対策を考えようと思った。
「今日は何を食べようか。僕は今日試合があるんだ。だからベタだけどトンカツを食べるよ」
昼休みになると隣のクラスから月島がやって来て、俺を連れ去ると食堂まで誘導される。そして毎日食事を共にしているのだ。
朝丘は俺と月島を二人にはしないと約束してくれて、必ず側で見守ってくれるので、心強くてありがたいと思う。
月島は根っから良いやつだったようで、付いてくる朝丘にも一緒に食べようと言い出した。今では俺と月島、朝丘と速水まで巻き込んで4人でつるんでいる。
月島は決して一線を越えようとはしないので、いくら顔の距離が近くても俺の自意識過剰のようで、文句一つ言えないのだ。あくまでも友達というスタイルを崩さないでいる。
そんな悪気のない月島に流されて朝丘たちまでが、月島の存在を普通に認め始めていた。
「俺たちも元を担いでトンカツにしようぜ!月島、頑張って優勝しろよな」
キラキラ眩しい笑顔を無駄に振りまいて、朝丘が勝手に俺たちの分まで注文しやがった。月島も負けないくらい眩しい笑顔でありがとう!と礼を言うので、俺と速水は乾いた笑いで応えるしかない。
一方、俺の恋人、可愛い百瀬はというと……。
それまで告白されても風紀の仕事が忙しいからと断るだけだったのだが、何を血迷ったか「付き合ってるやつが居るから無理だ」と言ってしまってからは、学園中で百瀬の恋人探しに皆が躍起になっている。
いくら問い詰めても百瀬は相手の名前を明かさないので、皆の妄想は膨らみ過ぎた。情報収集を怠らない暇人どものせいで、三年の先輩がお相手として一番有力になっていたりする。
これには俺も腹を立てたのだが百瀬はキッパリ違うと答えているし、先輩に言い寄られても相手にすることはまず無い。
付き合っているやつが居ることを何故打ち明けたのかと問いただせば、しばらく黙り込んだあと重い口を開いた。
「俺の話題が出るたびに、佐藤が俺のことを思い出してくれると思ったから……女々しいよな。すまん」
「……っ。いつだってお前のことを考えてる。わざわざ思い出す必要も無いほどにな」
しかしそれほどにまで百瀬を不安にさせたのは俺のせいだからな。月島との噂をこいつはどんな思いで聞いていたのだろうか。
俺を抱きしめる力がいつもより弱々しい百瀬を、逆に力いっぱい強く抱き締め返しておく。明後日からは夏休みが始まってしまう。その前に月島との距離を考え直す良い機会だとも思った。
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