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2. 甘い猛毒の滴る果実
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「大丈夫だから。俺を信じて、ゆっくり息吐いて」
なんで、なんで。
こんな状況でそんな優しい声するんだよ。
信じてなんて言うんだよ。
俺を犯そうとしてるくせに。
「――ひなたちゃん」
頭の中でぐるぐる回る文句は全部全部、藤堂の唇に塞がれて飲み込まれて。
ぐしゃぐしゃになったシーツを掴み続けジンジンと痛む指を引き剥がされ、労わるように撫でてから絡め取られる。
この行為の始まりを彷彿させる、甘い口付け。
けれど最初のように息苦しいことも、突っぱねて抵抗することも無く。
お互いの呼吸に合わせて唇を離し、舌を擦り合わせて唾液を混ざり合わせ、何度でも求め合う。
手を握っていない空いた手で、ずっと髪を撫でられながら。
優しく甘やかなキスに浸って、溺れて、心の内をとろかされていく。
「ひなたちゃん……欲しい。お願い」
「ん…や、耳…」
「――いい…?」
どこまで、ズルい男だろう。
酷いことをしているのに、優しくして、甘やかして。
甘い甘い猛毒を飲ませているように、絆されて踊らされて、頭の中で悪魔が小躍りしている。
拒めないって知っているんだ。
逃げ道を塞いで自分の思うようにしか動かないよう閉じ込めるんだ。
そしてその策に、見事に俺はハマってしまった。
「――ん…いい…」
首に手を回して縋り付いたため見えなかった藤堂の顔。
きっとこの時、彼は自分の手に落ちた俺のことを極上の笑顔で嘲笑っていたんだろう。
それを俺が知るのは、まだ先の話。
今は、この噎せ返るような熱に浮かされ、快感に手を伸ばすことに精一杯だった。
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