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3. 舞い上がった不幸のカタチ
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腰を中心に響く痛みを無視して、玄関に寝そべっていた身体を起こし服に付いていた砂埃をポンポンと払う。
足元には昨晩行ったコンビニのビニール袋が無造作に置かれていて。
拾い上げて中を確認する。
ぬるくなったお茶とお菓子、冷たい弁当とぐしゃぐしゃに丸められた肉まんの紙屑。
それに。
「フランクフルト…」
もう冷めかけているものの、まだ微かにあたたかさの残るそれは新しく買ったものだと。
別のコンビニのマークが入った包装紙が告げていた。
俺はフランクフルトを二本買った覚えもなければそこのコンビニに行った覚えもない。
だから、だから。
これを買ってくれたのはきっと。
昨日会った藤堂とかいうおかしな男で。
ほかに何か、言伝みたいなものはないかと袋の中からポッケに入ってたスマホまで探してみるけれど、何もなかった。
勝手に食べたお詫びだろうか。
それはフランクフルトのことか、それとも。
そう、そうだ。
俺は昨日、あいつに…
ほとんどが抜け落ちた昨晩の記憶の中で、必死にしがみ付いた藤堂の広くて少し汗ばんだ背中と、囁かれるだけで腰が抜けそうになるあの低くて甘い声が甦ってくる。
俺のことをバカにしたみたいに、ひなたちゃんって。
楽しそうに、イジワルな微笑みを浮かべる藤堂の姿が。
何時間経とうと頭の中から消えてくれなかった。
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