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4. 嘲り笑う偽りの芽
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動かない足。
動かない思考。
その糸が切れたのは、藤堂がその手を男の服の中に滑り込ませた瞬間を見てからだった。
「――っ何してんだよ!!」
動揺でもつれそうになる足を無理やり動かして、張り詰めた糸を断ち切って叫んだ言葉は二人の意識を反らすには十分すぎる声量となって放たれた。
けれど、驚いたのは男の方だけ。
まるで最初から分かってたみたいに、藤堂はチラリと俺を一瞥するとくつくつ喉の奥で笑った。
「何って見て分かんない?それとも邪魔するのが趣味なのか?ひなたちゃん」
ずっとずっと求めてた俺を呼ぶ声はこんなにも呆気なく、冷たくて。
状況が分からず首を傾げている男の前に身を乗り出し二人の間に割り込んで、急激に沸騰するハラワタの全てをぶつけにかかる。
「そうやって茶化すんじゃねーよ!お前俺に手出しといて何でっ…!!」
「え…手?」
ふと、背後で傍観していた男が呟いて。
振り返る寸前、藤堂が小さく舌打ちをした気がした。
「えと…ごめん。遊びならやめとくね。それじゃ」
「…あっそ」
俺を介しての素っ気ない会話。
今度は俺が一人取り残される番で、ベンチを立って去っていく男をぼぅっと見送る。
何が起きたのか、どういうことか分からないまま首を捻っていると。
いきなり背後から伸びてきた腕にがっしりと捕らえられた。
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