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4. 嘲り笑う偽りの芽
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一週間前、俺に触れていた腕が今また俺を捕まえて、勢い余って藤堂の膝の上に後ろから倒れ込む形になってしまう。
それが狙いだったのか、はたまたただの偶然か。
定かではないけれど、倒れ込んだ俺を腕全体を使って上半身に押し当て、ますます強くなる拘束。
「あーあ…ひなたちゃんが余計なこと言うからカモが逃げちゃった」
「余計ってなんだよ、事実だろ!っ離せ!!」
「余計は余計。しょーがないからひなたちゃんが責任取れよ」
「は!?――っん…!!?」
片腕を解いて、その腕で顎を掴まれて痛いくらい後ろを向かされて。
口に触れたのは、さっきまで別の男に触れていた唇。
ゾッ…と、足の先から悪寒と鳥肌が駆け抜け、不快感に思わず。
「――っ…!!い…って…」
ガリリ…と嫌な感触がして、同時に熱い鉄の味が広がる。
「あー…思いっきり噛みやがって…」
「っふ……んな…」
「あ?」
「っふざけんなよ!!」
なぜだか、無性に泣きたくなった。
イライラしているはずなのに、胸の奥からきゅー…っと何かが込み上げて、頭にどんどん血が上っていく。
「誰にでもこういうことして…お前おかしいだろ!俺を都合の良い道具にすんじゃねぇ!!」
「おいおい、ひなたちゃん今何時だと思って…」
「っつーか!遊びで強姦なんかして…訴えてやる…!」
何で、何で。
本気で怒ったはずなのに。腕の中に捕らえられているとはいえ凄い剣幕で迫っているはずなのに。
藤堂は、声高らかに笑った。
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