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4. 嘲り笑う偽りの芽
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暗い気持ちを代弁したように真っ暗な夜道を、ただひたすらに手を引かれるがまま歩いて。
最早引っ張られているというか、駄犬の散歩レベルで地面を引き摺りそうになる足を無理やり引き摺られている感覚。
けれど、多分。
俺のこういう反応ですら、この男を愉しませる材料に過ぎないのだろう。
なかなか進まない遅々とした足取りでも、怒るでも呆れるでもなく、無言で歩かされる。
やがて。
辿り着いたのは、さっきから白い壁が続いてるなー…とぼんやり思っていたその壁の中だった。
よくよく見れば、いや見なくともせめて顔さえ上げていればそれが塀だということは気付いたのだろうけれど、生憎とこの時の俺にそんな余裕はなくて。
だから着いたそのデカすぎる家に完全に呆けてしまった。
「ひなたちゃんやっばいアホづら。前も来ただろ?」
「は?覚えてねーけど…」
「あぁ…酔い潰れて寝てる間に連れてきて、気絶してる間に帰したんだったか」
「帰したって…そうだ、何でお前俺の家知ってたんだよ!」
広すぎて畏れ多いとすら感じてしまうその家の玄関を無遠慮に跨ぐ天宮城に連れられ、同じく家の中へと踏み入る。
何というか、敵の陣地に自ら足を運んで食われに来ましたっていうのが今更ながらに情けなく思えて、ついつい噛みついてしまう。
それを知ってか知らずか、揃える訳でもなく履いていたいかにも高そうな靴を乱雑に脱ぎ終えた天宮城が鼻で笑った。
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