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5. 繰り返される冷えた熱情
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――…
泣き疲れて眠ってしまったボロボロの顔を、そっと撫でる。
酷いことをした自覚はあった。
それでも己の欲を優先したのは、こいつがどことなく『似ていた』からだ。
純粋で純情で、馬鹿正直。
可哀想なくらい騙されやすくて無防備で。
違うところと言えば、生意気でアホっぽいところか。
「――…悪かったな…」
ただ、自分がムカついただけ。
本気で嫌がってるやつを無理やり抱くほど飢えてた訳じゃない。
泣いて嫌がる姿が見たかったのは本当。
壊してしまいたかったのも本当。
けれどそれは俺のエゴだ。
こいつに非はない。
いつかのように前髪を撫でてやると、少しだけ安心したように顔が綻んだ。
右側へ寝返りを打って曝け出された背中にくっきりと浮かぶ痛々しい噛み跡。
衝動のままに傷つけたそこを、一応消毒しておいてやる。
「…何、やってんだよ、俺は…」
いつもそうだ。
溜まった性欲を満たしても、心がぽっかり穴が開いて、ヒューヒュー風が通るみたいに寒くて堪らない。
それでまた人肌を求めて求めて求めて。
けれどどんなことをしても満たされない。
俺の本名を言うとすぐに媚びを売る奴。
遊ばれるのが好きな奴。
俺の容姿を気に入ってまとわりつく奴。
誰もかれもが俺を責めているようで。求めるものは何一つ与えられないまま去っていく。
「誰か助けてくれ…」
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