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6. 救いを抱えた到達点
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物心つくかつかないかというくらい幼い頃からずっと一緒にいて、幼稚園から小中高、果ては大学まで同じの大親友。
こっちに引っ越してくるまでは実家もご近所さんで、二人で連れ立って本当によく遊んでいた。
というよりは、俺が一方的に奏の家に住み着いていた。
けれどそれに対して不満を言われたこともなく、いつも快く迎え入れてくれたから、好意に甘えすぎてしまった、とも思う。
でも。
不安定になりやすい俺にしてみれば、そうやって寄り付く場所があるというだけで救われていたのも確かで。
だから、同い年とはいえ面倒見のいい奏は、友達というよりは『お兄ちゃん』みたいな存在だった。
中学生辺りの頃から、小学生のままごと遊びみたいなものではなく本気で女子に騒がれるほどカッコよくて、優しくて。
何があっても絶対的に俺の味方をしてくれる。
そんな奏なら、答えてくれるんじゃないかって。
期待して、俺は口を開いた。
「…人を落とす方法って、何かない?」
「落とす?」
「好きにさせるってこと」
「え…!?」
控え目に染められた髪と同じ薄い茶の瞳が一瞬で見開かれ、やっぱり熱でもあるんじゃないかと疑うような視線でまじまじと見られた。
驚くのも無理はない、けれど…
俺の意図が分からなくて困っているのか、しばし俯いて迷う仕草を見せてから真剣に付き合ってくれた。
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