アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
6. 救いを抱えた到達点
-
苦い物は嫌いで、ニンジンとセロリにピーマンとか諸々の野菜、それからシソとか香草もあんまり好きじゃないという子供っぽい俺の味覚。
その俺に合わせた訳じゃないけれど奏も好きなものは肉という大胆で男らしい味覚で、そんなところに親近感が湧いて。
俺がぼーっとしている間に山盛りだった卵とじ牛丼の大半を食べ終えた奏が手に取るのはブラックコーヒー…ではなく、購買に売っていたラズベリージュース。
お兄さんみたいで大人っぽいかと思えば俺と大して変わらない成績と味覚だから、余計に親しみやすくて仲良しこよしが続いてるのかもしれない。
「まずは相手に自分のこと知ってもらわないと、なんじゃないか?相当ルックスが良くなきゃ一目惚れの確立なんてそうそうないだろ」
ルックス、という言葉を聞いてバカな頭がふっとあの金髪オッドアイ長身の誑しを思い浮かべた。
あいつなら、一目惚れされるばっかなのかな……
それで言い寄ってきたやつに手当たり次第手出してる、とか…
思わず想像してしまったそんな嫌な光景を打ち消して、再びモヤモヤと濁る胸の内を抑えて奏に言葉の続きを促す。
「知ってもらうって、例えば?」
「自分の人間性とか?好きなものが一緒だと親近感湧くし、話も合いやすいから仲良くなれる。そこから相手の好みも知れる」
意外と面倒そうだと思ってしまうけれど。
これは全部、俺を弄んだあいつへの報いの為だと言い聞かせて頭の中に刻み込ませた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
47 / 286