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7. すれた決意表明
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単純に考えれば分かったことだ。
思い付きで行動する悪い癖のせいでスッポリ頭から抜け落ちてしまった事実が目の前で俺を嘲笑っている気がして、どうしようもなく恥ずかしい。
自宅から全力疾走で、うろ覚えで迷子にもなりながら辿り着いた天宮城の家。
相も変わらず、公園にでも見間違えそうなほど大きくて。
塀をくぐっただけでは家どころか屋根はおろか外壁の一部すら見えず、お洒落な形をして敷き詰められた石畳みをしばらく走って、けれど。
見るからに荘厳な、不思議な金属ででもできているのか艶めく光沢を放つ玄関は、しっかりと施錠されていた。
家主が留守という可能性をなぜ考えなかったのだろう。
自分の愚かさに溜息が止まらない。
そもそも、日本を支える、どころか世界を支えているといってもきっと過言ではない天宮城グループのトップともあろう人物が、平日の、それも昼過ぎに家に帰って休んでいるなんてない。
「はああぁぁ……何かやる気削がれる…」
考えてみれば、一週間ずっと探していたあの時だって会えなかったのだからそう易々と都合よく出てきてはくれないだろう。
勢いづいて飛び出したはいいけれどこれでは本末転倒もいいところだった。
時刻は未だ午後2時。夜まではまだまだたっぷり時間がある。
一旦帰って出直すか、いやでももしかしたら忘れ物とかして帰ってくるかもしれない、迷いの末。
不審者扱いされることを覚悟で、玄関の前5メートルほどに設けられた鉄製のベンチにどっしりと腰を下ろした。
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