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7. すれた決意表明
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4月にしては低い気温を観測している今日この日、段々と陽が傾くにつれて寒さもひょこひょこイタズラな風を吹かせ始めた。
真冬のように凍てつく、とはいかないまでも確実に体温を奪っていく冷たい風に微かに身体が震える。
春先にはあまり似つかわしくない裾の長い厚手のジャケットを引っ張って、膝を曲げなるべく小さくなって肌寒さを凌ぐものの。
数時間、最近お気に入りのスマホゲームに熱中していたからか剥き出しの指先は赤くかじかんできていた。
時間を潰せる手段はいくらでもあるからいいけれど、いかんせん寒くて仕方ない。
完全に日が沈む頃、返しにきたはずの天宮城のシャツを紙袋から取り出してブランケット代わりに膝にかけて。
いつ帰ってくるともしれない待ち人の帰りを願う。
ここで諦めて帰るという選択肢がないのは、それだけ俺の決意が固いという現れ。
けれどじっと動かないでいたからか、ゲームにも飽き始めたからか。
最近寝不足というか浅い眠りにしかついていなかった身体が限界を感じ始め、膝に乗せた天宮城のシャツに顔を埋めるように身体を丸める。
うとうとと襲い来る睡魔は容赦がなく、ベンチの上で体育座りなんてアホな恰好のままいつの間にか。
俺は眠りの淵に落ちて行った。
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