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7. すれた決意表明
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ふわふわしたものに包まれながら揺れる感覚は、何だろう。
幼い頃夢見た大型犬の毛玉に包まれるような、猫の群れに押し潰されてもふもふしているような。
そんな変な夢だった。
あたたかくて心地いいふわふわに誘われて、そこにもっと深く顔を埋め両手をいっぱいに伸ばし抱き付くと全身に触れるぬくもり。
ふかふかで柔らくて、いつまでももふもふしていたいのに。
なぜか一瞬でそれは狂犬さながらに鋭い牙を伸ばす獰猛な獣のようなものに変わっていて、驚く間もなく首筋に噛みつかれた。
「――い゛っ…!!?」
「あ、起きた?」
「っは…ぇ……??」
狂犬に襲われたと思ったら、いきなり視界が開けて真っ白な天井に変わる。
けれど噛まれた箇所はズキズキと鈍い痛みを訴えていて、起き抜けでぼんやりとしたがる頭では何が起こったのかよく分からない。
そんな俺を楽しそうに見つめ、けれどどこか不安そうにペタペタと額やら身体に手を当ててくるのはずっと帰りを待っていた天宮城だった。
「人の家の前で寝こけてるってどういうこと?つーか身体震えてたけど一体何時間いたんだよ、馬鹿かお前は」
「ば…バカってなんだよ!待っててやったのに!」
「いやいや頼んでないから。ひなたちゃん相変わらず抜けてんね」
確かに頼まれるどころか連絡一つ取っていないけれど。
勝手な思い付きで堂々押しかけたのも事実だけれど。
何かを言い返したいのに、今は自分にしか非がないことを俺の味方であるはずの頭がまざまざと見せつけてきて、結局閉口するしかなかった。
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