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7. すれた決意表明
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さすがに慣れてきた広く寝心地のいいベッドに寝かされたまましばらく天宮城は俺の額やら首やらを触っていたがやがて安心したように身体を離した。
「…ん、大丈夫そうだな…」
「?なんだよ、気色わりぃ…」
「お前なぁ……ほら、毛布。これにくるまってて。今ココア淹れてきてやるから」
「え、あ……」
これまたふわふわと柔らかな長い毛の毛布を身体にすっぽりと被せられ、くしゃりと前髪を掻き回してから天宮城が部屋を出て行く。
もしかしなくとも、多少は心配してくれていたり…?
ペタペタと執拗に身体を触っていたのも、熱がないかとか、体温の確認とか、そういう意味なのかと思いかけた矢先。
「っ…」
思い出したように右の鎖骨辺りが痛み、そういえば夢の中で猛獣に噛み付かれたんだっけとそろりと見やる、と。
くっきりと、形のいい歯形が浮かんでいた。
しかも軽く皮膚が切れてうっすらと血が滲んでしまっている。
「…おい」
どうやら猛獣に噛み付かれたのは正夢だったようだ。
たった今心配されたばかりなのに、欲望のまま生きる淫獣の顔を憎々しく思い起こしているとタイミングよくその当人が戻ってくる。
「はい、ひなたちゃん」
「ん…悪い」
「いーよ別に。風邪引かれる方が後味悪い」
ベッドから起き上がる時も軽く手を貸してくれて、手に持ったマグカップはどうなっているのか全く熱くなくて。
まさか冷たいココアなのかと構えれば、そんなことはなく。
熱すぎずぬるすぎず、すぐに口をつけられる程度のあたたかさとほんのりとした優しい甘さを感じた。
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