アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7. すれた決意表明
-
俺が元気なのを見てか、ご丁寧にシャワーまで貸してくれてあまりに広い風呂場にはしゃいでいたら逆上せそうになって叱られた。
「ホントひなたちゃんって俺を困らすのが好きだな」
「そういうんじゃない…」
「はいはい、脇開いて。…ったく、あっためたり冷やしたりマジで体調崩すんじゃねーぞ」
両脇と額を湿らせたタオルで冷やされ、ふんわりクラクラする頭が段々と冴えていく。
しかも返しに来たはずのシャツは再び俺に着せられていて、これじゃ迷惑をかけるだけかけに来たみたいだった。
「それで、律儀な子猫さんは一体何の用でここに来た?」
「子猫って…俺は」
「服返しに来ただけじゃねーよな」
「!」
再びベッドに寝かされた俺の傍に腰かけ、打って変わって真剣な眼差しで射るように問いかけられる。
服を返したのがただの口実だって、とっくに気付かれていたんだろう。
それでもこうして招き入れてくれたのは優しさなのか気まぐれなのか。
測りかねるけれど、話さないことには始まらない。
「いつから気付いてた?」
「最初から。一週間前俺の顔見て慌てて逃げてった奴が、たかが服返しに来るだけでそう何時間も待ってないだろ。玄関の前置いてけばいいだけの話だからな。…顔見て言わなきゃいけないこと、あるんだろ?」
こういうのを、何ていうんだったか。
ただ勘が良いだけじゃない、多分。
人を疑ってかかってるっていうか、最初から相手の行動に目的を見つけようとしているっていうのか。
そんなやつ相手に、俺は。
「…お前の、最後の相手になってやるよ」
全力の、恋愛ゲームを仕掛けるんだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
53 / 286