アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9. イタズラ心の意趣返し
-
「や、めろ…!やだ、離せ…っ!!」
天宮城が半馬乗り状態で俺の身体を抑えつけたと思った瞬間視界が回り、気が付いた時には後部座席に押し倒されていた。
こんなの、手慣れているなんてレベルじゃない。
ここまでされれば、今から何が起こるのかは俺がいくら馬鹿でも分かる。
だから必死に抵抗して、掴まれた手を無茶苦茶に振り回して膝で天宮城の腰を蹴って、でも。
「じゃあ現金で払う?2万円」
「っ……」
「払える訳ねーよな?冷蔵庫の中身はオレンジジュースとチーズだけで、風呂も湯は張らずにシャワーだけで済ませてる金欠状態の学生が」
「な、んで……知って…」
「俺を誰だと思ってんの?」
金欠、という言葉は正しい。天宮城の話も概ね当たっている。
冷蔵庫の中身はすでに話した通りで、天宮城がどうやって知ったか知りたくもないけれど水道代とガス代の節約のためにシャワーしか使ってない。
ただ、払えない額じゃなかった。
俺が、俺の最も嫌う人間に頼れば、の話だけれど。
そしてこんな窮地に陥ってなお俺はそれは。それだけは嫌で。
「選べよ、ひなたちゃん。現金で払うか、それともこの身体で払うか」
これがどれだけ理不尽な二択で、天宮城の手のひらで踊らされているしかないと分かっていても、俺は。
「…身体、で…払う……」
そこに拒絶という選択を、見出だせなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 286