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10. いじけた指先に熱を絡めて
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目を閉じても開いても熱く霞む視界はそれだけ、ボロボロと情けない涙が俺の目から零れている証。
そんな俺の姿を目の前に少し困った様子の天宮城は、この状況下でもしっかりと反応して鎮まらない俺自身と、泣きじゃくる俺のどちらを宥めればいいか測りかねているようだった。
「ひっ…ぇ、ぐ……うぅ…」
「…ひなたちゃん」
「っ…ふぇ…」
「ひなたちゃん、ひなたちゃん……」
「ん…ぅ……?!」
そうして迷った挙句天宮城が選んだのは後者だったらしい。
涙でぐしゃぐしゃになった俺の顔中に柔らかく唇を当てて…目尻に溜まって零れそうな涙をちゅ、と啜ってきた。
こちとらまだシートベルトに拘束されたままで、受け入れるしかない天宮城の行動がどうしようもなく恥ずかしくて、優しくて。
また、情けなくなる。
「…何が、嫌?」
「………全部」
「ひなたちゃん……言って。ゆっくりでいいから。全部ちゃんと聞くから。一個ずつ、声に出して」
そうやって、諭されて一つまた一つと、俺は打ち明けてしまう。
天宮城が俺に優しくするのが嫌だ。
酷いことをする癖に、その後甘やかしてくるのが嫌だ。
俺が悪いことをしても笑って許す『大人』な部分が嫌だ。
強引で俺様で、偉そうで、計算高くて、人を上手く丸め込んで思い通りにしてしまう……思い通りになって、逆らえない自分が、嫌だ。
俺が……
俺が、天宮城を……
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