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10. いじけた指先に熱を絡めて
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「…ひなたちゃんが俺を、何?」
「お…れが……お前を、いい奴だって……思い始めてる、のが…嫌だ……」
「こんなことしてるのに?」
「……気付いてないだろうけど。嘘吐くとき、癖が出てる。だから、嘘なんだろ。店長に話してって、アレ。俺がこうなったの、事故…だろ…?」
気付いたのは、ついさっきのことだけれど。
天宮城のことを思い浮かべて、『嫌い』を一つ一つ重ねながら振り返る内に、ふと。
そういえば、必ず身体のどこかを引っ掻いている、と。
一番最初に、冷蔵庫の中身を勝手に見た理由を誤魔化した時は、うなじを。
俺が下らないイタズラで天宮城を困らせた時は、左手首。
そしてさっき、俺が突然欲情した理由を言った時は、右耳。
嘘に敏感な俺でも見逃した小さな嘘も、そんな癖が教えてくれる。
今日一日だけで3回も吐かれた嘘。その内一度目と二度目は俺の為で。
だとしたら、きっと3回目も、そう。
普段勃起したとしても抑えてしまう俺を気遣わせない為、だろう。
天宮城に無理矢理犯されたことにすれば俺はきっと楽に発散できるしそれが自分のせいだったとは気付かない。
天宮城は最初から、分かっていたんだ。
俺が欲情することが。
そう考えたら、スルスルと導き出せる『正解』
「…ソースに血、混ぜたってのも嘘。ホントは血合いの量だろ…?俺が、酒にすっげぇ酔いやすいから…すぐ効き目が出るって、思ったんだろ…」
こうしてる間にも身体の疼きは強まるばかり。
今回は何もしないで収まるような生易しいものじゃないから、恐らくは言い出さず黙って耐えたであろう俺が苦しまないようにって。
そう、気を回したんだろう。
自分についた強姦魔というレッテルを利用して、悪役になってまで。
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