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10. いじけた指先に熱を絡めて
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酒に強い人間は麻酔にも強いという話があり、その逆もまた然り。
その例に則って、俺は昔から薬が効きやすい体質だった。
まさかその体質が、スッポンによる滋養強壮にも効力を放つとは予想外だったけれど。
「…何で、そう思う?ただ俺が、自分の欲求不満解消したいだけかもよ?」
「しないだろ」
「は?」
「お前は、そんなことしないだろ」
分かってしまったから、嫌なんだ。
天宮城はただの強姦魔じゃない。
悪戯に人を弄んで捨てるのを楽しんでやるような、そんな非道な奴じゃない。
たった3回しか会ったことのない、人の家に押しかけて騒ぐ迷惑な他人の為にすら嘘を使って庇おうとする心根の持ち主で、だから。
愉快犯じゃなかった。
俺があの日…天宮城に出会ったあの日、強姦されたことに。
何かの理由を、見つけてしまった。
「理由なく、お前はこんなことしない」
今はまだ、許しはしない。
けれど、憎むべき理由は確かに薄れてしまった。
しょーもない理由で天宮城は人誑しになったんじゃないって分かるから。
本来は優しいはずの天宮城が変わってしまうほどに大きくて深くて、重い、原因。
「…ホント、ひなたちゃんって…」
馬鹿なのか鋭いのか分かんない猫だなって笑う天宮城の声は、どこか寂しそうに聞こえた。
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