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11. 振り向かない恋の花
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最初に朔夜に襲われてからというもの、ふとした瞬間身体の奥に熱が走ることがある。
まるで行為の最中みたいな、甘い疼きを呼び覚ます熱い衝動。
同時に聞こえる、低く柔らかな朔夜の声。
『ひなたちゃん』
そう、呼ばれただけで魔法にかかったみたいに頭がふわふわし出して、そうすると身体の熱はどんどん高まって行って抑えが利かなくなっていって。
膨れ上がる熱量に疼く身体がさらに明瞭に朔夜の声をよみがえらせて、泥沼。
『かわいい…』
かわいいなんて言葉、男にとっては何の誉め言葉でもないはずなのに。
朔夜に言われると、なぜか心が舞い上がってしまう。
もっと、かわいいって言って。
もっと俺を求めて。
金と蒼の、ガラスみたいに綺麗な瞳が欲望に染まって俺を捕らえて、同時に俺も朔夜に囚われて。
それが、嬉しくて、嬉しくて。
どうにかなってしまいそうなくらい。
このまま、ずっと。
俺を離さないで、俺だけを求めて、ずっとずっと、俺だけの――……
「……なた……日向っ!」
「はっ」
パチンっという大きな音が目の前で鳴ってようやく、深く物思いに沈んでいた意識が帰ってきた。
心配そうに眉を下げる奏がその手を下ろしたことで、先の音の正体は盛大な手はたきだったことを知る。
何だか最近、こんなことばかりしている気がするのは、気のせいじゃないと思う。
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