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12. 惹かれ合った呼び声は陽だまりの元へ
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「……どこ、ここ」
「俺の本宅。ひなたちゃんがいっつも行ってたのは、今やってる仕事を片付ける為の別邸だよ」
元々そこまで馴染みがあったわけでもない景色がさらに全く未知の場所へと変わっていて、車を降りた瞬間からきょろきょろと辺りを見回してしまう。
どことなく、俺の住んでいる地域よりも都会感があるような気がして首をすぼめるけれど、そもそも。
「朔夜の家?ってどれ?」
「何言ってんの、目の前にあるでしょ」
「…?……――はっ?これ!?」
「そ。とりあえず入って」
そんな、まさか。
周囲に立ち並ぶのは一目で分かる高級住宅なこの通りの、その中で。
気品と存在感を溢れさせ、一際目立ってそびえる高い高い……てっぺんを見ようとすると背中を反るくらいにたかーいマンション。
スタスタと我が物顔、いや当たり前だけど自然に入って行ってしまう朔夜の後を追ってエントランスへ足を踏み入れれば、もう卒倒ものだった。
「俺…シャンデリアって初めて生で見た…」
「部屋にもあるよ。それより、ここのエレベーター指紋認証で動くから乗り遅れないでね」
「ふぇっ!?」
慌てて朔夜の後ろにぴったりとくっつくと、エントランスの奥からひょっこり出てきた、朔夜に負けず劣らず高級そうなスーツに身を包んだ男性が恭しく頭を下げる。
大分緊張しているのか、筋肉が強張って少し不自然なその礼の仕方が物語るのは、この人は朔夜の『顔』を知っているということ。
こんな高級マンションで仕事をしているのだから、もちろん超一流の人間なのだろうけれどそんな人でさえ、朔夜を前にしては委縮してしまう事実に、もう一度、天宮城朔夜という人間の影響力と存在の大きさを思い知らざるを得なかった。
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