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父親
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楽side
「尼野くん、結局お皿自分で片づけて行っちゃったな」
俺は食べ終わった皿をシンクに下げる。
「えっと・・・こっちかな?」
シンクにスポンジが二個あったから、あまり汚れていない方を取った。
「冷たっ、尼野くんもしかして水で洗ってた??」
蛇口を捻って出てきた水に少しビビってから、俺はすぐに水をお湯に変えてお皿を洗う。お皿一枚とコップ一個、洗い終えるのは数秒だ。
「皿洗いって久しぶりだなぁ」
皿洗いなんてしてたのは、父親が家に居た頃くらいだ。
まぁ、皿っていっても、その時のお皿は絵の具のパレットみたいなものとして使われてる皿だったんだけど・・・。
「あの人、片付けできない人だったな」
俺の父親は、画家だった。画家、と言っても売れない画家だ。
そのおかげで、俺は物心ついた頃から夫婦喧嘩の渦に居た。「貴方のせいで私は苦しい」とか、「これ以上借金はできない」とか、そんな感じだったと思う。
結局、しびれを切らした母親は家を出ていき、元々母親に依存し尽くしていた父親は、俺に目を付け始めた。元々狂った人だったけど、母親が居なくなってからはもっと狂い始めたように思う。
父親は俺をモデルに絵を描き始め、俺が少しでも動けば暴力を振るった。酒を飲んでは暴力を、俺が泣いては暴力を、憂さ晴らしに暴力を。暴力だけじゃない、時には母親に見立てられて性交や酒の強制をされたり、泣き叫びながら甘えられたりもした。絵に支障が出るのは嫌らしく、顔を傷つけられることはだけは無かったけど。
父親の言い草は、こうだ。
「どうしてお前が泣く必要があるんだ、苦しいのは俺だ、お前は幸せなんだから笑っていなくちゃいけない」
俺を見ているのか、母親を見ているのかわからない目でそれは何度も繰り返された。
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