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過去
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静夏side
家への道を歩きながら、俺は過去の事を思い出す。
父親は仕事にしか関心がない、母親は金にしか関心がない、兄弟はクズ。
今思えばそんな認識だが、当時中学生だった俺は理解してなかった。
ただひたすらに両親に認めてもらうために必死に努力した。学校での成績は常にトップ、運動でも手は抜かず、イベントごとでは係をかって出て、友人関係でも問題になるようなことは避けた。
俺は末っ子だったが、長男や次男よりは努力で勝っていたから、両親も俺に会社を受けつごうとしていた。だからその時は・・・兄弟も手を出してくることはなかった。
中学三年生の終わりごろだっただろうか「妬ましい」ただそれだけの理由で、学校で嫌がらせを受けるようになった。教科書が無い、体操着がない、上履きが無い・・・初めはかばっていた生徒も、続くにつれてかばうことが面倒になったのか、離れていき....次第に俺は成績に影響をきたしはじめた。
普段より勉強量も運動量も増やした・・・それでも、学校に出るとうまく能力を発揮できなくなった。
すると両親の目が急に変わった。努力しなければ優秀じゃない俺は、必要なかったのだ。
俺に受け継ぐはずだった会社は、少しの努力で優秀になれる長男が受け継ぐことになり、兄弟たちの嫌がらせがはじまった。
叩く殴るは憂さ晴らしで当たり前。度数の高い酒を無理矢理飲まされたり、割れたコップを口で片づけさせられたり、薬を盛られて夜の街に放置されたりと、次第にエスカレートしていった。両親はそれをただ、黙認していた。俺が使えなくなったと理解したからだろう。
そんなある日、夜中に兄弟に買い物でパシられ、買い物途中、包丁に手が伸びた。殺してやろう、家族みんな....ただそう思った。
しかし購入した包丁を持って帰ろうとしたとき、ふと声を掛けられた。
「何で子供がこんな時間に、ふらついてる?」
整っているが、ひどくやつれた容姿の男だった。
「まぁいい、この絵を買い取ってくれないか?子供のためなんだ」
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