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「ねェ遊聞いてよ、この世の中には他力本願寺っていう寺があるらしいよ。僕行きたいなぁアイデア制作のためにもさ、ねェ行こうよ!」
執筆に飽きた僕はパソコンでネットを見ながら僕と同じで3徹の遊に呟く。
遊はわりと余裕そうな顔をしながら眉間に皺を寄せて睨みつけてくる。
(意外…。美人って睨んでも美人なんだな。
しかも意外と迫力があって怖い。)
「他力本願寺なんて寺はないよ。アンタ原稿終わってないのわかってる??いい加減すっぽかしもきかなければ代行もきかないから。」
「ねェ遊、僕コンビニ行きたい」
「そうやって逃げるのは4度目、流石にさせるわけないでしょう?何が欲しいの…とも聞かないからね。そうやって俺がいない間に逃げたのは2度あった。」
原稿という名の悪夢から逃がしてくれないこいつは悪魔だ。
小説を書き始めて1年ちょっと経ったけど僕の書いてる小説は売れ続けてるらしい。
4つの話を書いて、単行本は上下巻合わせて8冊。
今は5つ目の話を書いていて、近いうちに発売すると公表したらしい単行本に間に合うため遊はいつにも増してイライラしている。
僕の書いた本で1番売れたのが《檸檬と水仙》だった。
ドラマ化、そして映画化した。
面倒で全部遊に任せてたら勝手にそこまで大きくなっていた。
あらすじとしては愛した男性に捨てられた女性の話。
私を愛してほしいと思うあまり己を傷つけ続けた女性と、見過ごし続けた男性。
女性は自殺未遂を図りビルから飛び降り意識不明の重体に、男性は初めて女性への恋心を自覚する。
だが女性は心が壊れ男性に笑いかけることはなくなった。
その女性を支え続けた男性と女性は結局結婚して、幸せに過ごしましたとさ、という話。
売上とかは全部遊にまかせているし、僕は必要な時に貰えれば構わないから任せっぱなしにしている。
「あー…眠い……」
「寝るならあと3枚書いてからにしてよ。」
訂正しよう、こいつは悪魔なんて甘いものじゃなく大魔王だ。
この大魔王め
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