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《君の声で僕を呼んで》8
「鬼退治したいんだ」
突拍子もなくアホなことを言い出した俺に、零だけじゃなくみんなキョトンとしていた。
「あ、違った。鬼逃げ…?そう鬼ごっこ!!
鬼人共から逃げてやりたいんだ。
それで零にも一緒に逃げないかなって思ってさ。」
本からしか知識を得られなかった俺たちの言動は通常の人たちよりも遅れてて子供っぽかった。
零はさっきまでの貼り付けたような笑顔をやめ、真剣な顔をしていた。
「逃げるって言ったって何処に行くの?
13歳の僕らが逃げてまた別の施設に行くとしてもきっと対応は変わらないよ。
僕ら顔だけはいいし、体だってこんなだし。
僕や此舞、行人は捨てた奴らを脅して金をとることくらいならできるかもしれないけど、微や空は違うし。」
「珍しく零が初めから否定してない……!!!」
「ふふっ明日は雪かな?」
「捨てた奴ら…ってことはお前ら1期生の子じゃないのか!?」
「「今更そこ…?」」
当時の俺はアホで馬鹿丸出しだった。
何も知らない3人に話を持ちかけてから回って、それでも3人は笑いさえしたけど話だけは聞いてくれた。
「やっぱり空は面白いね…ふふっ……
僕と行人の苗字は捨てた人の苗字使ってるからね。
零は…自分のことを話したがらないから知らないけど。」
「あっあの…!それならお巡りさんの所に行くのはどうでしょう…!」
「お巡りさん…?ってあぁあの犬の?
犬にどうにかしてもらうなんて無理だろ…。」
「なァ此舞お巡りさんってなんだ??」
お巡りさん…警察さえ当時知らなかった俺は童謡の犬のおまわりさんしか知らなくて犬が助けてくれるわけないと思ってた。
いや…わかってるよアホだったよ……
「それを言うなら警察…!人間だよ。
でも確かにそれは名案かも。
いいね、楽しそうだし その話乗ってもいいよ。」
「えっ…零、唯さんはどうするの?
置いていくわけじゃないでしょう?
この施設の中で連絡手段なんてないよ?」
(ゆいさんって誰だ…?
また知らない人…知らない人ばっかりだ)
「いや、置いていくよ。
話聞いてる時にふと頭に 逃げろ って聞こえてさ。
きっと唯だよ。」
「なァ…さっきから何言ってんだ?」
この時零の兄弟について聞いた。
唯という弟がいて、施設で会えていないこと。
俺にもきっと兄弟はいたけど存在なんて知らなくて少し憧れたのを覚えてる。
「そうと決まればパートナーの生理が被らない日を考えようぜ!
俺のパートナーの周期的にはここからここら辺。
微のパートナーはここらへん。」
「僕のパートナーはここからここ、あとはここらへんに固まってるかなァ〜。」
「俺のはこの辺だな!」
「僕のパートナーはここら辺かな。よく覚えてないけど」
こうしてパートナー達の生理の日にちを重ね合わせて、逃亡計画実施日を決めていった。
でも14人もの人の生理が被らない日なんてなかなかなくて、決行日はなかなか決まらなかった。
「今年は無理か…来年も無理……」
「ぁ…この日!この日なら空ちゃんもみんなかぶってない…!」
微の見つけた日にちが決行日になった。
それが3年後の3月27日。
丁度今日の3年前になる。
「そうと決まればあと3年耐え抜くだけだな。」
逃げられるのはきっと数少ない。
しかも不特定多数の人に伝えて回ると漏洩する恐れがあったから伝えたのは2期生の17人だけだった。
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