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「えっと…お名前お聞きしても宜しいでしょうか?」
「予約していた小鳥です、小鳥零。」
あれから1時間半近く歩いてようやく宿についた僕らは疲れ果てて動くことすらも億劫だった。
僕は熱海に来る前に見た苗字についての番組がどうも引っかかって、気になっていた。
「小鳥 遊、遊の名前って本名なの?」
「なんで、そんな事聞くの?」
また馬鹿を見る目で はァ? とでも言われると思っていたから、予想外の回答に戸惑う。
「別に気まぐれだけど、なんとなく。」
あっそう、とだけ言った遊は俯いたまま何も言わなかった。
(あ…美人の顔が歪んでる。)
あのあと何を話すでもなく普通にいつも通り、運ばれてきたご飯を食べて風呂に入って、布団に潜った。
さんざん歩いて疲れ果てた体はすぐにでも寝てしまいそうだった。
「ねェ零、零は本名なの?」
半分寝かけていた僕に遊が聞いてきたのはさっきの仕返しともとれるような質問。
「違う、でも僕は零だから。」
「…!あっそ。」
背を向けていた遊の方を向いて、目を見て答えた。
遊は呆れたように微笑んだ。
「ふわァっ……ねむ…………」
「零ほら起きて、今日は観光行くんでしょ。」
2人とも爆睡して、起きた頃にはもう午前10時をまわっていた。
「んぐぐ…ちから……」
ガシャン!!!
大きな音を立てて床の間にあった花瓶が空を飛び、落ちて割れた。
「へ……?な…んで、力が…使える……!?」
ここでようやく意識がはっきりとした。
起きて1番にする力が使えるかの確認。
使えなかったら唯の力が正常、唯が生きている。
じゃあ、使えてしまったら……?
「び、っくりした……零、その力まさか…。」
考えられる事は1つしかなかった。
唯が ———
—————————— 死んだ……?
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