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【side 零】
優人の話は、想像以上に壮絶だった。
特に母親である優香についてが。
でも、だからと言って許せるほど恨んできた年月は短くなんてなかった。
「零、わかるだろ?
優人だって好きで俺らを産ませたわけじゃない。」
「優人…呼び捨て……」
「わかってる…わかってるよ。
そんなことわかってる。
でも、産まれてきたかったとは到底思えない。
産まれたその瞬間から疎まれて、蔑まれて。
捨てられるその瞬間まで暴言を吐かれて育ったんだ。」
素がでてる、自覚してる。
それでも1度でてきた言葉は止まらなくて。
ボロボロと汚い感情ばかりがこぼれていく。
呼び捨てにされた優人は少しムッとした表情をしていた。
「捨てられるその瞬間って…零と唯は4つの時にあの施設に入ったんだよね?
4歳の頃の記憶があるの?」
「はァ?今更そこ?
あるよ。アンタの遺伝子の所為でそりゃァもうバッチリと。唯だってあるでしょ。」
「いや、俺はないよ。
気づいた時には施設って感じだったから。」
(は…?いや、僕だけ?)
4歳までの記憶があるのは僕だけ、それならどうして唯は海岸で僕だと認識できたのだろうか。
唯とは施設に入れられてからすぐに引き離されたから合っていないはずだ。
「いや待ってよ、それならなんで唯は海岸で僕を認識できたの?
ついでに優人とも、馴れ初めを聞きたいね。」
「認識は…ほら、まァいいだろ。
馴れ初めは聞きたいか?3時間はかかる。」
「おっとそれなら100字以内で頼む。」
「施設でお前らが逃げた後俺はしばらく鬼人と移動サーカスみたく転々としてた 少し時間が経ったくらいの時に警察が乗り込んできてたまたま優人さんを保護した警察官に保護されたんだ そこで君はリツか?なんて聞かれて晴れてゴールインつってな」
「あらびっくり100字ぴったり。」
「ちょっと!結婚してないからね僕ら!!」
自分でもくだらないと思う100字についてのやり取りはさておき、けど重要なのは僕らが逃げた後も鬼人といた、っていうところだ。
(やっぱり…逃げられてなかったか……)
「ごめん。連れて逃げられなくて本当に、ごめん。
守れなかった…僕…守れなかった……
ほんと、かっこ悪い……」
「知ってたよ、俺が犯されないように俺に相手するよう来てた鬼人とかの相手を全部零がしてくれてたこと。
安心してよ俺犯されてないから。
ありがとな、零のおかげだよ。かっこわるくなんてないよ。」
「うぅ…だって…だって僕お兄ちゃんなのにぃぃ……」
だめだ、わけがわからないけど涙が出てきた。
ついでにわけがわからないから笑いまでこみ上げてくる。
「お兄ちゃ…お兄ちゃんなのに…っふふ…ぐずっ…ううっ…あっはっはっ……ひぃぃ…18歳が…お兄ちゃんで泣くって……っふふ…ふふっ…あははっ……」
「お兄ちゃんって…っははは…よく言うわ…っ……あっはは……」
こんなに、また唯と笑えるとは思ってなかった。
この日のために頑張ってきたと思えばお釣りが来るくらいだ。
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