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こーちゃん
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「こーちゃん、なーに膨れてるの?」
「うるさい」
俺の従姉妹の鈴原凛子(スズハラ リンコ)が家に来て俺の顔がそんなに無愛想だったのかそんなことを聞いて来る。好きでこんな顔に生まれたんじゃありません、はい。
凛子は俺より一つ年上で、たまに遊びに来る。
湖太郎の、こ、の部分をとってこーちゃん、と凛子は俺のことを呼んでいる。男になってちゃん付けはどうなんだ、とたまに思うのだけど……。
「なんかあったの?」
「……凛子……、俺…」
ぐす、と俺が泣こうとしたら
「いや、泣くな。こーちゃんのことだから泣いたら話がわからなくなる。」
と言ってストップがかけられた。
…ひどい。
俺、実はとっても涙もろい。
昨日だって泣きそうだったから見なかっただけで…!涙もろいのに強がり。
強がらずに本音を吐けるのは凛子だけ。
そう言ってだらだら事の発端やら何やら全部話した。
「いや……でも相手も男だし、大学生なんでしょ?」
「うん。」
「そりゃプライドだってあるだろうし」
「うん。」
「年下に言うのかっこ悪いーと思ったんじゃないの?」
「…………そう?」
夢の中の、米崎さんを思い出した。
かっこ悪い?って聞いたら、そうかもね、と。
「けど知りたかったんだもん〜……。気になるだろ、誰でも。」
ポロポロ涙出て来る。
なんで隣人のことで泣かねばならんのだ…。
「こーちゃん前にもこんなことあったよねえ。…………えーと、確か……、雛川くん」
凛子が俺の涙をぬぐいながらそう言うと同時に俺は固まった。
「……も、いいじゃん。そいつのことは」
思い出した、お前には関係ない、の初代。
……雛川千歳(ヒナカワ チトセ)。
去年の、夏。
思い出さないように、必死に鍵かけてたんだった。高校だって中高一貫だったのに、ショックで高校変えたくらい。
だって…………
「こーちゃん、雛川くん好きだったのに。」
凛子が悪気なしにそう、ストレートに。
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