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一緒にいたい
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来る日も来る日も、暇な時さえあれば、俺は米崎さんの家に寄った。
そうすれば、切なそうにする意味も、わかるような気がして。そして、1人にすると、なんかしそうで。
「桐谷くん最近よく来てくれるね。」
米崎さんはまた、繕った微笑をして。
俺の、学校の友達とかは、割と豪快に笑う。米崎さんみたく笑う人はまずいない。
なんか、心ここに在らず、みたいなそんな笑い方。
「俺、米崎さんといたくて」
気がついたらそんなことを言葉に出してた。
自分で言っててなんか恥ずかしくなってきて、思わず顔が赤くなる。
「…桐谷くん、顔真っ赤。…ありがとう。」
緩く微笑んで俺を優しく撫でる。
米崎さんの声は、静かだけど、それでも芯は通ってて、透き通った声。
俺は、この声好きだし、飽きない…もっと聞いていたいな、と思ったりもする。
「…………、それ、好きとかじゃないの?」
「ゲホッ、ゴボッ」
月曜日、学校終わりの帰り道に話したら凛子がいきなりそんなことを言うので驚いてむせてしまう俺氏。因みに凛子は同じ高校に通っている。まあ、学年は違うけど。
「…え、だって、相手、男………」
「したら雛川くんだって男でしょ」
「あいつはもういいって……」
雛川くんの話を出されて少しむっとする。
だってもう終わったことだし………、でも好き、って…いうのじゃないと、思うんだよなぁ…、
米崎さん。
「…まあでも、はっきりさせときな」
ケラっと笑った凛子を思わずじっと見てしまう。
……こんな笑い方、米崎さんはしたことあるのかな。なんか、どこかでチクッとした。
友達になら、そんな笑い方するの…かも。
ふと駅前のカフェに見慣れた人がいた。俺は思わず凝視してしまう。
「なーるほど、あの人が米崎さん?なかなか美青年じゃない。」
「まあ…そだけど」
気づくのが早いよ凛子…。なんか米崎さんは友達と一緒みたい。いつものような、儚げな微笑み。友達にだってそんな笑う人じゃないんだなぁ、って思った。俺がみたあの人が純粋に笑う顔は、一回だけ。多分、笑えるんだろうけど、笑えさせない何かがある。ううん……きになる…。
「何悩んでんのよ。じゃあね」
デコピンされて気がつけばもう自宅の前。凛子は俺の家よりあともう少し歩いたところに家がある。普通ならここで女の子だし送ってけよって思われるだろうけど、俺が送ろうとしたら
「私、柔道黒帯だから」
と良い笑顔で言われた。俺ならってないし…。多分喧嘩したら真っ先に殺られる…。
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